化学繊維の用語集
フィラメント絹のように連続した長さを持つ糸のことで、長繊維糸と呼びます。 通常フィラメント糸は、数十本の単糸(単繊維)を撚り合わせて1本の糸(マルチフィラメント)とします。魚網やテグス(釣り糸)のように、単糸が一本場合はモノフィラメントと呼びます。 ステープル木綿や羊毛のようなわた状の短い繊維のことで、短繊維と呼びます。つめ綿、カーペットなどではステープルのまま使われますが、通常は紡績により糸(紡績糸)として使用されます。 重合合成繊維は、合成高分子(ポリマー)からできています。 高分子を構成している基本になる低分子化合物をモノマーといいます。 このモノマーを多数結合させて高分子を作る化学反応を重合といいます。 合成繊維工場で重合から紡糸まで一貫して生産しているのは、主としてモノマーが液体あるいは固体のもので、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどです。 モノマーが気体であるポリエチレン、ポリプロピレンなど、またモノマーが液体で あってもビニロンは、もっぱら石油化学工場で重合が行われ、合成繊維工場に供給されています。 紡糸化学繊維を製造するため、原料を液体にして、紡糸口金(ノズル)から押出して繊維にする工程で、汎用繊維を作る製法とスーパー繊維を作る製法があります。 *汎用繊維を作る製法には「溶融」、「乾式」、「湿式」の3つの方法があります。 溶融紡糸原料を熱で溶かした状態で、口金から押し出して繊維状にした後、冷やして固める方法。ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなど。 乾式紡糸原料を熱で気化する溶剤に溶かした状態で、熱雰囲気中で口金から押し出して溶剤を蒸発させて繊維状にする方法。アセテート、アクリル、ビニロンなど。 湿式紡糸原料を溶剤に溶かした状態で、凝固浴と呼ばれる溶液中で口金から押し出して化学反応させたのち、溶剤を除去して繊維状にする方法。レーヨン、アクリル、ビニロンなど。
※上記の外にスーパー繊維を作る製法で「ゲル紡糸」、「液晶紡糸」があります。 ゲル紡糸
柔軟な高分子を、分子を出来るだけ引き伸ばしやすい中間段階を経て、それを非常に高倍率に延伸して製造する方法。 液晶紡糸
高分子材料の液晶状態(液体のような流動性を持ちながら分子がある規則性を持って配列している状態)を利用して高度に分子鎖を配合させながら紡糸する方法。 超高速紡糸技術革新による紡糸速度の向上により、巻取り速度が6,000m/分さらには8,000m/分クラスの超高速での製造も可能となってきました。 従来の方法では、1,000m/分程度で紡糸した後に延伸工程が必要でしたが、超高速紡糸では、巻取り速度があがったため延伸工程は不要となって合理化が図られました。 超高速紡糸は、品質の安定化など高度の技術を必要としますが、国際競争力の強化など生産の近代化として注目されています。 また、超高速で紡糸した繊維については、染色性が改善されるなど従来の繊維と異なった糸質が得られる点でも特徴があり、新しい素材としての魅力を備えています。 延伸紡糸したあと、繊維を構成する分子の配列をよくするために、引き伸すことをいいます。延伸により適度な強さと伸度をもった繊維になります。 仮撚加工糸(かりよりかこうし)テクスチャードヤーンともいいます。熱可そ性を利用してナイロン・ポリエステル等のフィラメント糸にクリンプ形態を与えた、かさ高性や伸縮性を付与した糸のことで、当初はフィラメント糸(延伸糸;FOY…Fully Oriented Yarn)を仮撚り専業者が専用の工場で加工していましたが、現在では次のような方式も一般化しています。
紡績ステープル(短繊維)を紡いで糸にする工程。紡績は、混打綿⇒梳綿⇒練篠⇒粗紡⇒精紡⇒仕上げの工程で加工されます。素材によって方式が異なりますが、化学繊維は太さ長さが自由に変えることができるため、どの方式によっても紡績ができます。 天然繊維は、綿糸、毛糸というように、単一の繊維原料を使用して紡績糸を生産することが多いのですが、合成繊維の場合はその特徴を生かし、かつ天然繊維等の長所をも加味するためポリエステルと綿、アクリルと羊毛等異なる繊維を混ぜて紡績することも行われています。 混紡二種以上の異なったステープルを混ぜ合わせて紡績すること。 撚糸
フィラメント糸や紡績糸に撚りをかけること。 糸の太さを表す単位(テックス、番手、デニール)テックス
繊維や糸の太さを表すSI単位。長さ1,000mで重量が1g あるものを1テックスといい、数字が大きいほど太くなります。デシテックスはその1/10です。 1テックス = 10デシテックス = デニール × 0.1111 1テックス = 590.54 ÷ 綿番手 番手
紡績した糸の太さを表わす単位で、一定の重量に対して、長さがいくらあるかで表わし、綿番手、毛番手、麻番手などがあります。番手数が大きいほど糸の太さは細くなります。 デニ-ル繊維や糸の太さを表わす繊度の単位。9,000mで重量が1g のものを1デニールといい、数字が大きいほど糸は太くなります。 取引単位(俵・梱・玉・反・疋・デカ・グロス)取引単位は、いずれも繊維原料、製品等を一定の重量・長さ・数量で包装したもので、単位となっています。
俵=bale。綿花・羊毛等の包装単位で産出国によって違います。
梱(コリ)=bale。普通は輸出用綿糸の梱包をいい、1梱は40玉=400ポンド。 玉=bundle。糸を結束したもので、1玉は10ポンド。
疋(匹)・反=piece。織物の長さを表わす単位で、品種によって異なります。 デカ=deca。「10」を意味し、ニット製品等の取引単位として使用されます。 グロス=gross=12ダース=「144」を意味します。 布地・生地
いわゆる布地・生地は、織物だけを指していうこともありますが、英語のファブリックと同様な意味でニット地、不織布を含めていう場合が一般的です。
織物織物は地模様や紋模様を出すドビー織物やジャカード織物など特殊なものもありますが、基本的にはたて糸とよこ糸の組み合わせにより、次の3つ(三原組織)に区分されます。
編物編み方によって、次のように区分され、それぞれの用途に使用されます。
不織布不織布は、織ったり、編んだりせずに作る布地です。製造方法としては、繊維を引き揃えてシートを作り、これをトゲのついた多数の針で刺して繊維を絡ませたり、部分的に接着したりして薄い布にしたり、化学繊維の長繊維のまま不規則に繊維を絡ませ、これを均一な層として布状にする方法と短繊維を用いて紙のように製紙や抄紙の方法でシートを作る方法とがあります。 交織・交編交織 交編 織機織機は、開口方式やよこ入れ方式によって次の通り区分されます。
生機(きばた)糸を製編機織して得られる面状の布で、染色・仕上げ加工される前のものを指します。絹の未精練布の場合は「生成り(きなり)」、織物では「織り上がり、織り卸し、グレー」などと呼ばれています。 精練繊維・繊維製品に付着している天然不純物、油剤などを取り除く染色の前工程。アルカリ類と界面活性剤を用いて溶解・分解・乳化・けん化・酸化で除く。例えば、水にせっけんを溶かし、生地を入れ、高温で熱します。 染色織編物の染色は、わたや糸、トゥ・トップの状態で染める「先染め(糸染め)」と、織編物にしてから染める「後染め」に分けられます。「後染め」は更に浸染と捺染(プリント)に分けられます。後染めはQRに対応できるため広く行われています。
このほかに化学繊維では、紡糸前の原液の段階で顔料を混合することにより、着色された原糸を製造する「原着糸」があります。 仕上げ染色整理の最終工程。繊維の特性を生かし、製品の用途に応じた風合いや外観を整えることで染色物の価値を高める一般仕上げと、更に防皺、防縮、難燃、抗菌防臭、撥水機能などを付与する特殊仕上げがあります。 生地の風合い
繊維や布地に触れた時の感じ、つまり手触りや肌ざわりの感じを風合と言います。 ハリ、コシ、キシミ、シャリ、ヌメリ、ドレープ性等の用語がよく使われます。これらの用語は、例えば”シャリ”とは粗くて硬い繊維や強撚の糸から生れるシャリシャリとした手触り感覚であり、又、”コシ”とは生地を触って得られる弾性のある充実した感覚を指す等、人間の官能を通じて得られる感覚をこれらの言葉で表現したものであり、具体的な定義づけはありません。 起毛
布表面の繊維を針や突起物でかき出し、織物の厚さを増し、ソフトな風合いにし、保温性を高める目的で行われます。片面起毛と両面起毛があります。極く短い起毛により、桃の表皮を思わせる外観と感触を持つポリエステルやナイロンなどの織・編物もあります。 定番(製品)
「定番」製品とは、汎用的に使用されるため需要量もまとまっており、メーカーも見込み生産で常時在庫として保有し、いつでもユーザーの発注に応えられるようにしてある製品をいいます。こうした糸や織物には、一定のコード(多くはアルファベットと数字の組み合わせや番号)が付されており、何時でも、どこでもユーザーがその製品識別コードで発注すれば、間違いなく希望の製品を手にいれることができるため、「定番」といわれています。
化学繊維の改質・改良化学繊維は、天然繊維と違って改質・改良が比較的容易なため、繊維の原料(ポリマー)に機能剤を混ぜたり、紡糸段階で原糸・原綿に様々な機能(付加価値)を付与することが出来ます。天然繊維の場合は、糸や織物の段階で機能材を付与しています。 異型断面繊維化学繊維は、普通円形の紡糸口より紡出され、繊維の断面は通常円形になりますが、紡出口金の孔の形状を三角形、Y字形、星形に変えるなどして非円形の断面の形状を作ったものです。これによって感触、風合、光沢などが変わります。 中空繊維繊維の中を空洞にしたもの。紡糸の時にガスを発生させる方法や特殊な紡糸口金を用いる方法がとられています。軽く、保温性の高い繊維となります。 コンジュゲート糸(複合繊維)成分の異なる2種類の原液を2つに区切られた紡糸口金から同時に紡糸し、1本の繊維としたもの。2成分が貼り合わされた構造になっているもの、芯・鞘構造になっているものなどがあります。これを熱処理して熱収縮率の差でコイル状の捲縮を発生させたタイプのほか、導電性成分を複合させて、導電性タイプにしたものなどもあります。また極細繊維製造技術にも生かされています。 混繊糸2種以上の単繊維を何本か混ぜ合わせて1本のフィラメント糸としたものです。異なった種類のものを混繊する場合と同じ種類の異なった繊度のものや収縮性の違ったものを混繊する場合があります。 抗ピル繊維ピリング防止性を高めた繊維。 布の表面に出た毛羽が結節したり、もつれたりして繊維塊を形成する現象をピリングといい、それを防ぐため結節・屈曲強度を弱めたタイプのポリエステルやアクリルが開発されています。 極細繊維天然繊維で最も細い繊維は絹の約1.11デシテックス(1デニール)といわれていますが、化学繊維は、技術の進歩により、それよりも細いミクロ単位(1/1000㎜)の極細繊維を作ることができるようになり、人工皮革、薄起毛製品、ワイピングクロス等の用途で使用されています。 複合素材混紡や交織などは、それぞれの繊維の特徴を生かし、互いの短所を改善することを目的に行われてきました。最近では更にそれを進め、前述の混繊や長繊維糸と紡績糸の複合化、合成繊維と天然繊維の複合化、高強度を有するアラミドなどスーパー繊維とナイロン、ポリエステルなどの汎用繊維との複合化など、感性、機能性を強調した複合素材が増えています。 ナノファイバーナノテクノロジーとは、原子や分子の配列をナノメートル(nm、1nm=10-9m 10億分の1)の領域において、物質を自在に制御する技術のことであり、素材、IT、バイオ、環境など広範な産業の基盤に係わるもので、21世紀の最重要技術として捉えられています。ナノファイバーは、これを基にした繊維版であり、国際的には直径が1ミクロン(=1,000nm)以下の太さの繊維をナノファイバーと定義しています。 生分解性繊維生分解性繊維は、自然界において微生物が関与して分解される繊維を指します。生分解性は、一般的に天然繊維が優れ合成繊維は劣りますが、合成繊維でも生分解性に優れる高分子が開発され、製品化されています。生分解性繊維に用いられる代表的な樹脂は、脂肪族ポリエステルです。その中でも近年、トウモロコシの澱粉から作る乳酸を重合したポリ乳酸が注目されており、このポリ乳酸を溶融紡糸したポリ乳酸繊維が生産されています。ポリ乳酸繊維は、ポリエステル並みの強度特性を有しますが、耐熱性は若干劣る(融点:170℃)ため、それを改善すべき研究開発が進んでいます。 光発色繊維(構造発色繊維)色素ではなく、物質の構造によって発色する繊維です。光の干渉などを利用して発色するため、光線の角度や強度、見る角度によって、様々な色合いを表現できます。生物の体の構造の一部をヒントにして開発された繊維もあり、屈折率の違う2つのポリマーを、ナノレベルで多層に組み合わせて発色する繊維等が商品化されています。染料・顔料が不要で、染色工程で使用されるエネルギーを抑制することが可能なため、環境にやさしいという特徴もあわせもった繊維です。 再生ポリエステル繊維再生ポリエステル繊維は、PET(ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム)の工場内裁断屑を利用して再溶融繊維化し、カーペットなどに利用されていたものですが、1997年4月から施行された容器包装リサイクル法で、PETボトルが再商品義務対象製品となったため、回収されたPETボトルから再生したPETフレークスを用いた再生ポリエステル繊維が生産されるようになりました。また、2002年からは、ケミカルリサイクル技術が実用化されたことにともない、バージン原料で作るものと同等の再生ポリエステル繊維の供給が可能となっています。再生ポリエステル繊維製品は、ECOマークの取得が可能で、地方公共団体がECOマーク商品を優先使用するなどのインセンティブもあり、PETボトルの回収率の向上に伴い、生産量は年々増加しています。 透湿防水素材雨水をはじく防水性と、気体の汗等の湿り気を通過させる透湿性を兼ね備えた高機能素材。微細孔を持ったポリウレタン皮膜をラミネートやコーティング技術により布面に形成させたもの、ポリエステルフィルムを使用したリサイクル可能なもの、極細繊維を用いた高密度織物などがあります。登山・スキーウェア、ゴルフのウィンドブレイカーなどに不可欠の素材です。 蓄熱・保温繊維ソーラー繊維太陽熱発電に利用される炭化ジルコニウムなどを繊維に混入し、太陽光を効率よく吸収し、熱に変え、衣服内に放出するようにした繊維。冬季オリンピックでその効果が立証されました。 遠赤外線加工繊維遠赤外線を放射するセラミックスを繊維に付着あるいは混入させ、遠赤外線による保温効果を持たせたものと、近赤外線を吸収する有機系特殊化合物を後加工段階で繊維に均一に分布させ、保温効果を持たせたものがあります。 消臭・抗菌防臭・たばこ消臭繊維消臭(臭いを消す)、抗菌防臭(菌の増殖を押さえ、悪臭物質の発生を防ぐ)、たばこ消臭等の効果を持たせた繊維。消臭物質や抗菌剤等を繊維の原液に混入する方法、繊維に樹脂等で固着する方法、繊維に化学結合させる方法等があり、両者の複合機能をもたせたものもあります。 MRSA増殖抑制繊維
MRSA(メチシリン(制菌)耐性黄色ブドウ球菌)は、メチシリンなどの抗生物質が効かないため、その感染防止策がクローズアップされております。そこで、病院用資材としてMRSAの増殖抑制効果を有する抗菌性繊維の開発が進められました。 制電繊維合成繊維の一般的な性質として、電気絶縁性が高いという点がありますが、湿度の低い冬等に衣服のまつわりつきや、パチパチという放電などのトラブルを起こしがちなので、これを防止するため、制電効果のある界面活性剤を使用したり、電気絶縁性の低い物質、或いは導電性の良好な物質、例えばカーボン等を練りこんだ製品が開発され、広く利用されています。 熱融着繊維ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエステルとポリエチレン、ポリエステルと低融点ポリエステルなどといった融点の異なる材料を単繊維中に芯と鞘の状態で紡糸し他繊維。これを薄いウェブ状とした後、熱風又はヒートロール等で熱処理して、低融点材料の一部を溶融・接着させて不織布とします。おむつの肌に接する表面部分等に利用されています。 難燃繊維繊維の多くは可燃性ですが、ホテルや公共施設で使用するカーテン、カーペット等には、難燃性(火を近付けた時に着火はしても燃え広がらず、炎をとり除けば消火する性質)が求められています。難燃剤として各種の薬剤が開発されており、繊維自体に混入したり、これを布地に加工することによってその効果をあげています。 紫外線遮蔽繊維(UVカット繊維)夏の海水浴などで太陽光線を過度に浴びるとひりひりと日やけ(皮膚の火傷)しますが、これは太陽光線の紫外線によるものです。紫外線を浴びる総量が多いと皮膚の劣化(しわ)、しみ、そばかす等の発生を促進します。この紫外線を有効に吸収し拡散するセラミックスをポリエステル等に練込ませた練込みタイプと、織物又は編物の仕上工程での特殊処理で高分子系の紫外線吸収剤等を使用した後加工タイプとがあります。ブラウスを始めとする婦人物、戸外で使用するゴルフ、テニス等のスポーツ衣料、日傘、帽子、更にカーテンにも利用されています。 ストレッチ素材衣類に伸縮性を出すために使われる素材で1958年デュポン社がゴムのように伸縮する性質のポリウレタン繊維(スパンデックス)を開発してから、その特性を生かして衣料用等にその需要が広がっています。ポリウレタンは主に綿やナイロンと混ぜた複合糸として製品化されます。従って、ポリウレタン100%の製品は無く、その混用割合は製品により異なりますが、5~30%程度です。従来の素材は、①耐塩素性に劣る、②ポリエステルとの同時染色が難しいなどの問題もありましたが、改質・改良が進められこれらの問題の無いものが増えています。そのほか、ポリエーテル・エステル系の弾性糸や、ナイロンとポリエステルの中間の物性特性を持つPBTやPTT繊維などがあります。 特殊加工主として織物に対して染色整理加工段階でなされる改質・改良で、例えば次のようなものがあります。 形態安定加工
衣類が着用や洗濯後もシワにならず、防縮性にも優れ、プリーツなどの保型性を保ち続けることを目的としたノーアイロン加工です。
ポリエステ100%織物は、そのまま形態安定性を有していますが、綿やレーヨンなどセルロース系繊維の場合は、縫製後にホルマリンを主体としたガスを吹き付け繊維分子同士を結び付ける方法(VP加工法)や液体アンモニア処理した生地に樹脂加工剤を施し、縫製加工した後に加熱処理する方法(ポストキュア法)、生地に樹脂加工を施す方法(プレキュア法)等があります。 減量加工ポリエステル長繊維織物をアルカリ溶液中で加熱処理して、繊維表面を溶かして繊維を細くし、同時に繊維と繊維の間に隙間ができることにより、しなやかでドレープ性が向上した織物ができます。この技術は、短繊維織物にも適用されています。 その他
ワイピングクロスポリエステルやナイロン等の超極細繊維を用いて開発された高機能ワイピングクロスは、家庭用の食器拭き、メガネ拭きから光学機器用、その他産業用途にまで幅広く展開されています。例えばメガネ拭きは、従来は綿(コットン)の別珍が主流でしたが、合繊素材のワイピングクロスを使ったものがヒット商品となりました。 人工皮革織編物などを基布にして表面にコーティングを施した合成皮革に対して、人工皮革は超極細繊維の不織布にポリウレタン樹脂などを含浸する手法で作られます。自在な着色性、無臭、軽い、雨に濡れても硬化しないなどの特徴があります。極薄タイプなども生まれ、衣料、インテリア、かばん、スポーツグッズ、カーシートなど用途が拡がっています。 フェイクファー(人工毛皮)天然毛皮に近い二重構造(刺毛と産毛)をもっています。また色彩が極めて鮮やかで豊富なため、ファッション性に富み、カビ、虫食いの心配がないなど取り扱いが簡単で経済性にも優れています。エコロジーブームとともに評価が高まっています。 産業用繊維資材の新用途分野産業用途は、繊維にとって今後需要の拡大が期待される分野です。特に期待される分野には次のようなものがあります。
繊維産業(工業)
「繊維産業」という言葉は、他の業種区分と比べて非常に広い意味で使用されています。一般的に繊維産業は日本標準産業分類でいう化学繊維製造業、繊維工業(テキスタイル製造業)、衣服・身の回り品製造業(アパレル製造業)に繊維品卸売業・小売業を加え、更に、いわゆる総合商社や百貨店の繊維部門を加えたものとして定義されています。 川上・川中・川下
繊維産業は、極めて多段階の業種を含んでいるため、これを川の流れにたとえ、川上(化合繊製造、紡績及び素材流通)、川中(織布・ニット・染色及び中間製品流通)、川下(縫製、製品流通)と区分して表現することがあります。 産地産地とは、産業がある特定の地域に集中して立地することであり、それぞれの地域経済において重要な位置を占めています。繊維産業における構造上の1つの特徴であり、生産量の多い産地として下記があります。
産元産地の繊維専門業者。メーカーから注文を元請けして、地場の加工業者に発注する。産地元請けの略 繊維の流通
繊維業界は、次図で示したように、繊維素材業界(ファイバー、糸、紡績糸)、テキスタイル業界(生地、織物)、アパレル業界(衣類)、小売業界から構成されています。
リスク分散を旨とした、このような分業制に基づく複雑な流通構造は、明治以来の産業発展にともなう歴史的な背景がありますが、現在は、繊維業界全体の高コスト構造の要因ともなるなど問題もあります。 繊維法繊維関係の法律は、1956年(昭和31年)10月に「繊維工業設備臨時措置法」(繊維旧法)が制定され、1964年(昭和39年)に「繊維工業設備等臨時措置法」(繊維新法)に移行しました。1967年(昭和42年)8月から1974年(昭和49年)6月までは繊維新法と重複する形で「特定繊維工業構造改善臨時措置法」(特繊法)が施行され、1974年7月から「繊維工業構造改善臨時措置法」(繊維新法)となり、2度の改正・延長を経て1989年(平成元年)まで続きました。1989年には「繊維工業構造改善臨時措置法」(繊構法)、更に1994年(平成6年)7月「繊維産業構造改善臨時措置法」(繊産法)と名称変更され、1999年(平成11年)6月末に期限切れとなり廃止されました。現在繊維産業に対する個別の「業法」はなく、一般施策、中小企業施策など横断的な産業政策の枠組みのなかで対応しています。 独立行政法人 中小企業基盤整備機構中小企業総合事業団の繊維関連業務は、1999年7月1日よりそれまでの繊維産業構造改善事業協会の業務を引き継いだものです。同協会の前身である繊維工業構造改善事業協会は、1967年9月1日に特定繊維工業改善臨時処置法に基づき設立以来一貫して繊維工業の構造改善業務を担当してきました。1994年には小売業を対象に含めるとともに名称を繊維産業構造改善事業協会に改め、構造改善事業の支援の他、繊維産業振興のための需要開拓、取引の適正化、情報の収集・提供及び情報化に関する調査研究などの事業を展開してきました。現在は、独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営基盤支援部 繊維産業課として繊維産業の活性化を図るため以下の事業を実施しています。 1. 繊維中小企業活性化への支援
2. 人材育成への支援 繊維中小事業者の国際的レベルでの競争力を確保し、先進的な企業経営や情報化の推進を担う、アパレルに関する人材を育成するための人材育成事業を実施しています。 また、繊維産業の知識・ノウハウ等を次世代の人材に継承するための人材資質向上事業に対して助成金を交付しています。3. 情報化への支援 情報化の具体的、かつ円滑な導入を促進するため各繊維産地において研修会を開催するとともに、情報化導入促進のための教材を作成し、啓発普及を行なっています。4. 絹製品需要促進への支援 絹製品の需要開拓の促進を図るため、洋装用または非衣料用絹織物等の開発試作に対して助成金を交付するとともに、これら試作品と全国絹織物産地において製作された新作絹織物を「シルクストッフ」で展示します。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 繊維ビジョン繊維ビジョンは、繊維産業の望ましい将来像と施策の在り方を示して、繊維産業政策を基本的に方向づける役割を担うことを目的に策定されてきました。1966年(昭和41年)を初回に、その後繊維法の延長の節目毎に、ほぼ5年に一度の割合で策定されております。現在のビジョンは2008年に策定され10回目を数えます。現ビジョンは、前回のビジョンが2003年に策定されて以降、繊維産業を取り巻く環境が、クォーターフリーやFTA/EPAの進展により国境無き競争激化、原燃料価格の高騰、地球環境問題の深刻化などにより、これまでの施策の検証、内外の環境変化を見据え、今後の日本の繊維産業の進むべき方向と繊維政策のあり方について提案したもので、新繊維ビジョン「繊維産業業の展望と課題(技術と感性で世界に飛躍するために―先端素材からファッションまで―)」として策定されたものです。 QR(クイック・レスポンス)1980年代半ば、衣料品の輸入急増に直面した米国の繊維産業は、国際競争力回復を目指して、様々なプログラムを開始しました。当時、米国のコンサルティング会社のKSA(Kurt Salmon Associates)社は、アパレル企業の競争力をいかに強化するかの観点から、衣類のサプライ・チェーンの分析を行いました。その結果、
日本においては、1994年9月にQR推進協議会(2002年6月より、「繊維ファッションSCM推進協議会」へ略称変更)が発足し、本格的なQRの取り組みが開始されてきました。ただ、これまでのQRの取り組みは、発注側の在庫リスクを加工部門にしわ寄せする、いわゆる「QRとは、『顧客にすぐに届けること』」と解釈されかねない反省から、SCM(サプライチェーンマネージメント)の言葉も使われています。 繊維リソースセンター1988年の繊維ビジョンで提唱されたもので「繊維産業の商品企画力、情報収集、発信力を強化し、繊維産業の各部門の相互交流を促進するための基盤施設」として、1セクター当り13億円の平均的な規模で、中小企業基盤整備機構、地方公共団体、民間企業等の共同出資により、いわゆる第3セクター方式で6カ所に設立されています。
繊維産業流通構造改革推進協議会(繊維ファッションSCM推進協議会)1993年の「繊維ビジョン」(今後の繊維産業及びその施策の在り方)の提言に基づき、情報ネットワーク化推進のための業界組織として1994年9月に繊維産業流通構造改革推進協議会(QR推進協議会)が設立されました。1999年7月に民間団体として再スタートし、2002年6月より繊維ファッションSCM推進協議会(FISPA<FASHION INDUSTRY SCM PROMOTION ASSOCIATION>)という名称に変更し、新たな体制で活動しています。 現在は200以上の企業・団体が加入しており、繊維ファッション産業界の効率的なサプライチェーンを推進し、サプライチェーンと新しいビジネスモデルに必要な業界標準を併せて推し進めていく役割を担い、SCM導入に関わる問題や全体最適を目指したサプライチェーンの推進に向けた活動を展開しています。 当協議会は、総会、理事会、正副会長会議の下に、総務委員会、SCM推進委員会、取引改革委員会の3つの委員会の活動を中心に事業を運営しております。また、会長の諮問機関として「経営トップ合同会議」を設置し、その時代における業界の課題について具体的な解決を図っております。
繊維産業流通構造改革推進協議会(繊維ファッションSCM推進協議会) 糸ベース需給表
繊維製品は、わた→糸→織・編物→製品と次第に加工度を高めていくため、全体の需給を把握するために、織・編物や製品を糸(長繊維糸と紡績糸)を重量に換算した「糸ベース需給表」を作成しています。需給表は、経済産業省の生産動態統計並びに財務省の通関統計などをベースに作成しており、「期初在庫+生産+輸入=輸出+内需+期末在庫」の関係式により推定内需及び需給状況を出しています。
繊維全体の需給は次の通りです。 また、輸入比率は通常、輸入量/内需量で表され、I(Import)/C(Consumption)レシオともいわれています。また輸出比率は輸出量/生産量で表わされます。 輸入比率は、その国の当該産業の発展段階によって変化し、黎明期にその率は大きく、成長とともに減少、成熟期には再び増加します。糸ベース需給表による日本の繊維全体の輸入比率は、1965年0.6%、75年10.0%、85年26.1%、90年37.4%、95年57.7%、2000年71.9%、05年 84.1%、07年87.5%、08年87.6%、09年92.1%、10年88.1%と推移しています。2010年は1990年以来20年振りに前年比減少しましたが、依然高い水準にあります。 また輸出比率は、1965年31.6%、75年36.0%、85年31.8%、90年25.3%、95年28.5%、2000年39.9%、05年 56.8%、07年60.6%、08年59.7%、09年65.7%、10年59.1%と減少しましたが、生産の縮小もありその比率は高まっています。 ファイバーベース需給表
繊維品、特に化合繊においては、不織布や製綿などの非紡績用途が拡大しており、上記の糸ベース需給表では、全体の需給を正確に把握することが難しくなっています。より実態に近い非紡績用途を含めたファイバーベース需給表の作成が重要となっております。 繊維消費量(A)=ミル消費+製品段階の貿易量(繊維製品輸入(B)-繊維製品輸出) ミル消費(天然繊維)=国内のミル段階への繊維投入量 ミル消費(化学繊維)=化合繊の国内生産+輸入(C)-輸出+在庫増減(期初在庫-期末在庫) 輸入比率=(製品輸入+化合繊ファイバー輸入)/繊維消費量=(B+C)/A ファイバーベースでみた日欧米の輸入比率の推移は、つぎの通りとなっています。
単位:% 日本繊維産業連盟(繊産連)日本繊維産業連盟(下村彬一会長)は、1970年(昭和45年)に米国の綿製品輸入規制に加えて毛・化合繊製品の輸入規制要求の高まりに対抗する必要が生じたことが契機となり、繊維業界が結成した組織です。化学繊維製造業を含む繊維工業、アパレル製造業、繊維貿易業等27団体はじめ賛助会員から構成されています。 わが国繊維産業の発展に向け、川上・川中・川下を通じて、化合繊メーカーから紡績業、織布・編立業、染色業、アパレル・縫製業、小売業まで含めたトータルインダストリーとしての競争力の強化を目指した活動を行っています。 2010年の主な活動内容です。 1. 「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」について
2009年12月に経済産業省に設置された「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」に、会長が座長、傘下の日本アパレル産業協会会長が副座長を努めると共に、加盟の各団体も委員として参画し、今後の繊維産業の課題と具体的な施策について提言をしました。 2. 製品安全問題への取り組み「繊維産業における環境・安全問題検討会」において「繊維製品の安全に係る業界自主基準」の普及とそのための課題解決に向けて取り組みました。 3. FTA/EPAの積極活用とアジアとの連携強化タイ、インドネシア、ベトナム、インドとの間で、9件のEPAに関わるミッションの受入もしくは派遣をしました。 4. 繊維通商問題研究会経済産業省繊維課と協力しながら、下記の事項について検討しました。5. TPP交渉の早期参加への要望書10月27日に大畠経済産業大臣に、11月に自由民主党・公明党に提出しました。 6. 知的財産権の保護知財権侵害の被害事例・対策事例など情報交換を行うとともに、最近の知的財産権制度に関する制度改正の動向、各業界団体における知財権保護に対する活動について情報の共有を行っています。 「日中繊維産業知財権保護WG」では、アパレル製品の模倣品への対処方針などについて中国紡織工業協会と打ち合わせを行うとともに、国際知的財産フォーラム(IIPPF)に参加しました。7. 人材の確保と育成について7月1日実施の改正出入国管理及び難民認定法(入管法)施行による新たな技能実習制度による課題・対応について、会員の状況の把握、意見交換を行いました。8. 平成23年度税制改正要望について経済産業省(8月5日開催)、自由民主党(11月1日開催) 、公明党(11月9日)に意見表明並びに要望を行いました。また、10月27日に大畠経済産業大臣に法人実効税率の引き下げを要望しました。主な要望事項は、以下の3点。 ・法人実効税率の引下げ、国際課税の適正化、連結納税制度の見直し ・研究開発促進税制の延長 ・環境税の導入」への反対 9. 加工再輸入減税制度(暫8)延長への取り組み7月に経済産業大臣に日本の素材輸出の維持拡大、国内産地の振興に必須の暫8制度延長の要望書を提出しました。10. 特恵関税制度改正への取り組み2010年は、10年に一度実施の特恵関税制度見直し年にあたるため、原産地規則の一部改正、国別品目別特恵適用除外の運用ルール見直しなどについて業界の意見を取りまとめ、経済産業省に要請しました。11. 国際化への積極的対応① アセアン各国繊維業界との交流7月に下村会長がタイ、インドネシア、ベトナムの繊維業界首脳と面談。現在進めているEPA協力をベースに、相互の繊維産業発展のために協力関係の強化していくことで合意しました。 ② 欧州繊維業界(EURATEX)との交流 9月に下村会長が訪欧。EURATEX会長、イタリア繊維協会会長、他と面談し、相互の協力関係の強化で合意しました。 ③ 第1回日中韓繊維産業協力会議の開催 11月26日(金)、横浜ロイヤルパークホテルにおいて、「第1回日中韓繊維産業協力会議」が開催しました。日本からは、下村会長・小川副会長以下計35名、中国からは、中国紡織工業協会 許坤元副会長・高勇副会長以下計30名、韓国からは、韓国繊産聯 盧喜燦会長・金東秀副会長・裵昇鎮常務理事以下20名が参加しました。 各国代表からの挨拶の後、以下のテーマについて報告がありました。 炭素繊維協会1978年に炭素繊維懇話会として発足し、1988年に炭素繊維協会に改称しました。国内の炭素繊維製造業者から構成され、炭素繊維業界の発展に貢献するため、テーマ毎に部会・委員会を設置して以下の活動を行っています。 2011年4月時点の会員数は正会員7社(東レ㈱、三菱レイヨン㈱、㈱クレハ、東邦テナックス㈱、大阪ガスケミカル㈱、三菱樹脂㈱、日本グラファイトファイバー㈱)、賛助会員3社(日本カーボン㈱、JX日鉱日石エネルギー㈱(旧 新日本石油㈱)、日本コークス工業㈱)の合計10社です。
炭素繊維協会 FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とするもの。経済連携協定の主要な内容の一つであります。また、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)とは、特定の二国間又は複数国間で域内のヒト、モノ、カネの移動の更なる自由化、円滑化をはかるものです。 20011年4月現在の日本のEPAの進捗状況は以下の11本が締結済み、2本が合意済みとなっています。
なお日本とアセアンとのEPAでは、日本はレベルの高い(適用除外品目が少ない)、かつ発効と同時にEPAの効果が受けられるように、①ほぼ全品目について関税の即時撤廃、②原産地規則では2工程ルール(EPAの恩典をうけるため原則として日本と締結国との間で2工程が必要)を提案し、これまでのEPAではそれが採用されております。 2008年12月、日本とアセアンとの包括的経済連携協定(AJCEP)が発効されたことで、日本の繊維企業のアセアンへの関心が高まっており、例えば、日本の繊維品貿易においては、「中国+1」の流れもあり、アセアン、中でもベトナムとの間の貿易に増加がみられます。 持ち帰り貿易(OPT)“Outward Processing Traffic”の略で、日本から生地を輸出し海外で縫製し衣料品として輸入するものをいいます。日本企業のグローバル化進展によって、最適コストによる適地生産を進めた結果、国内と海外の棲み分け、すなわち日本から生地を持ち込み、労務コストの安価な中国、ベトナムなどの国で縫製し、日本に輸入するという方式が定着しています。 加工再輸入減税制度(関税暫定措置法第8条)日本から外国に輸出し、原材料を外国で加工・組立などを行った後、その製品を輸入する際に、製品の(課税)価格に占める輸出原材料の割合を製品の関税額に乗じた分を関税額から減税される制度です。繊維品では、輸出原材料として縫糸、織物、不織布・フェルト、たて編ニット生地、布帛製衣類半製品、ボタン・ファスナーなどの衣類付属品が、輸入製品として布帛製衣類、じゅうたん、靴下類、インテリア類が対象となっています。 本減税制度については、2011年度から3年間適用期間が延長され、輸出原材料にニット生地およびニット製衣類の半製品が、対象輸入製品にニット製衣類が追加されました。さらに、「海外ストック取引」(委託加工契約を結ぶ前に原材料を海外に輸出、在庫としてストックし、契約を結んだ後に当該原材料を加工して生産される製品を日本に輸入する)については、輸出時点では加工契約が結ばれておらず、輸出原材料が特定されないことから、これまで制度の対象となっていませんでしたが、2002年度より、輸入時に輸出原材料を記載した契約書で輸出原材料を特定させる手続きをもうけることにより、制度の適用を可能とすることとなりました。 MFA・二国間協定MFAは、Multi-Fiber Arrangementの略で「多国間繊維取極」と訳されます。ガットの例外規定として、毛、綿、化学繊維、麻、絹製品の国際貿易を秩序化するため、参加国間で取り決めたものです。1974年1月から施行されて、94年末に失効するまで前後6回延長されました。MFAの下で関係当事国間は、主として同取極の第4条に基づいて二国間協定を締結し、規制を行ってきました。なお、日本は輸入国として、MFA措置を導入したことはありません。 新繊維協定(ATC)繊維貿易は、1974年から1994年まではMFAというガットの例外となるルールの下に置かれていましたが、1986~1994年のウルグアイラウンドにおける自由化交渉の結果、繊維分野については、10年の経過期間をかけて段階的にガットの規律下に統合することで、繊維貿易の自由化を図ることが合意され、1995年1月1日のWTO協定の発効と同時に繊維協定(ATC:Agreement on Textiles and Clothing)が発足しました。 統合の方法は、繊維・衣料品について、1995年~2004年末の10年間を3年、4年、3年の3ステージに分け、各ステージ開始時に各国の90年の繊維輸入実績の16%以上、17%以上、18%以上をガットに統合していきます(合計51%以上を統合)。そして、11年目の最初(2005年1月1日)に残りの品目(49%未満)をガットに統合します。MFA規制下にある品目で未統合のものに関しては、MFA下の二国間協定で合意されていた各品目の伸び率を各ステージ毎に16%、25%、27%ずつかさ上げした伸び率を適用して、自由化を促進するテコとしています。現在は第3段階の統合が終了し51%の品目が自由化されたことになります。いったん「統合」されると、後はガットの一般規定(例えば19条)による対応のみ可能となります。 新繊維協定は、第一義的にMFAを10年の期間で段階的に廃止することを目的としたものでありますが、この10年間に輸入急増による重大な損害又はその惧れが存在することが証明されれば、TSG(繊維セーフガード措置)を相手国に選択的に適用することが認められています。2005年1月1日を以って失効しました。 TSG(繊維セーフガード措置)TSG(繊維セーフガード措置)とは、WTO繊維協定第6条に規定されている経過的セーフガード(Transitional Safeguard)のことです。特定の製品が国内産業に重大な損害を与え、又は与える恐れがあるような増加した数量で輸入されていることが証明されたと決定された場合には、TSGを適用することができます。その損害や恐れを決定するのは、当該特定産品の総輸入量の増加した数量により生じたことが明白であることが必要です。その上で、特定国からの輸入が急激で著しい量で増加することを基礎として、かつ他の輸入源からの輸入との対比や価格の比較をするなどして、対象国を特定することになっています。このTSGについても、2005年1月1日の繊維協定失効により、制度が消滅しました。 アンチダンピング関税(不当廉売関税)不当廉売関税は関税定率法第8条に定められています。海外から不当廉売された貨物の輸入が、わが国の当該産業に実質的な損害を与え、若しくは与える恐れがあり、またはわが国の当該産業の確立を実質的に妨げる事実がある場合において、当該産業を保護するため必要があると認められるときは、貨物及び当該貨物の輸出者または輸出国を指定し、当該貨物の正常価格(輸出国の国内価格)と不当廉売価格の同じ取引段階における差額に相当する額と同額以下の関税を課することができるとしております。 わが国では、これまでに5件のアンチダンピング申請が行われましたが、そのうち調査が開始されたのは、中国、ノルウェー、南アフリカ産のフェロシリコマンガン(91年10月申請)とパキスタン産の20及び21番手カード綿糸(93年12月申請)の2件です。 パキスタン産綿糸については、1994年2月18日に調査開始、95年8月4日に課税決定が告示されました。証拠を提出したパキスタンの対象紡績業者のうち8社についてはダンピングマージンが僅少であることから課税非対象となり、9社については2.1~7.9%の反ダンピング税が課せられ、証拠未提出者については9.9%が課税されるというもので、施行日より5年間適用されて、2000年7月31日に期間満了となりました。 2000年に入り繊維製品の輸入急増への対応策が政官民において検討され、アンチダンピング制度についてもその活用策が検討されました。アンチダンピング措置については、WTO協定上は「合理的に入手可能な情報」で申請が可能であり、当局はそれが「十分な証拠」かどうかを審査することとなっているところ、わが国の国内ルールでは、申請時に「十分な証拠」を求めていることから、過剰要件との指摘がかねてからありました。2000年11月以降に相次いで開かれた自民党繊維対策特別委員会、与党繊維対策に関するプロジェクトチームや、繊維産業審議会総合部会基本問題小委員会での検討において、申請者が「合理的に入手可能な情報」で申請し、当局はそれがWTOルールにいう「十分な証拠」かどうかを審査することが確認されました。 2001年2月28日、帝人(現 帝人ファイバー)、東レ、クラレ、東洋紡、ユニチカファイバーの5社が、財務省に対して、韓国、台湾から輸入されるポリエステル短繊維の一部について、アンチダンピング(AD)税の賦課を求める申請書を提出しました。これは、1995年のWTO発足以降、わが国では初めての申請となりました。同年4月、日本政府から正式調査開始の告示が出され、2002年4月、日本政府は調査期間の3ヶ月延長する旨を発表しました。そして同年7月に韓国の一部企業を除いて不当廉売が認められ、相当のアンチダンピング税が賦課されることとなった旨の政令が交付されました。2006年8月に帝人ファイバー、東レ、ユニチカファイバーの3社からの課税延長申請が行われ、2007年6月に認められ、更に5年間のAD税が賦課されることになりました。 CIRFS「Comite International de la Rayonne et Des Fibres Synthetiques」の略称で、国際人造繊維委員会と呼称しています。化学繊維及び同製品の改良、増産及び用途の拡大をはかるため、宣伝、経済研究、技術、統計について国際的な連絡を取ることを目的として、1951年に設立されました。創立時より本部はパリにおかれましたが、92年夏にEU(当時はEC)の求心力の強まることを意識してブラッセルに移動しました。会長は原則3年制で、再任制度があり、現在の会長はSabanciグループのSabanci氏です。組織としては運営委員会を最高機関として、経済政策委員会、統計活動委員会、技術委員会等からなっており、毎年5月に年次総会が開催されて、重要問題が討議されます。会員対象地域は創立以来一貫して西欧(EC+EFTA)でしたが、冷戦の氷解とともに94年に東欧・中欧にも拡大し、96年にはトルコも対象とすることとなりました。また、米国メーカーの欧州法人も会員となっております。わが国は、その黎明期の56年に賛助会員として加盟し、現在に至っております。 「アジア化繊産業会議」および「アジア化繊産業連盟」「アジア化繊産業会議」は、アジアの化繊産業の近年の発展が目覚ましく、そのあり方が世界の繊維産業の動向に大きな影響を与える時代になり、アジアの化繊業界の代表が一同に会し、共通の関心事について率直に話し合い、共通の認識と理解を深め、相互の信頼関係を築き上げることが重要になってきたとして、1995年度の日本化学繊維協会の前田勝之助会長(東レ社長・当時)が、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、チャイニーズ・タイペイ、タイの化合繊業界の首脳に呼び掛けて開催に至った会合です。現在会議は、アジア化繊産業連盟主催の下開催されています。 第1回会議(当時は、アジア化繊業界会議)は、96年4月11~12日に千葉県浦安市で開催され、アジアの10カ国・地域(合計12の協会)から合計110名が出席しました。 これからも継続して開催していくことが合意。運営の母体として「アジア化繊産業連盟」が設立され、初代会長に前田勝之助氏が選出されました。 第2回会議は、引き続き日本化学繊維協会(田口栄一会長・当時)が担当し、97年11月4~5日に京都市で開催されました。参加者は前回を上回る約140名でした。アジア化繊産業連盟の運用規則が正式に採択され、基本統計の交換をすることが合意されました。 第3回会議は、中国化繊工業協会(許坤元会長)が担当し、99年10月13~14日、中国・上海市で開催されました。参加者は約120名でした。最新のマクロ情報と関連統計の交換を定期的に行うためにアジア連盟の付属機関のひとつとして「統計・情報センター」を設置し、その事務を日本化学繊維協会が行うことが決定されました。 第4回会議は、2002年3月22~23日にインド・ムンバイで開催されました。会長が前田初代会長からメスワニ・インド合繊協会会長に交代し、前田初代会長は名誉会長に就任しました。 第5回会議は、2004年9月9~10日にインドネシア・バリにて開催されました。この会議で、会長がロヒア・インドネシア合繊協会会長に交代しました。 第6回会議は、2006年5月18~19日に韓国・ソウルで開催されました。会長が安韓国化繊協会会長に交代しました。加盟国・連盟が繊維産業を取り巻く環境の変化に対応し、繊維産業の発展を目指すための指針となる「アジア化繊産業ビジョン」が採択されました。 第7回会議は、2008年5月15~16日にマレーシア・ペナンで開催されました。会長がTanマレーシア紡織工業協会副会長に交代しました。「アジア化繊産業ビジョンのフォローアップ」のほか、世界の化繊需給の中長期見通し、省エネ・環境問題、産業用・家庭用の化繊市場開拓の現状と将来見通し、アジアの化繊産業の通商問題への対応等についての報告が行われました。 第8回会議は、2011年5月12~13日に台湾・台北で開催されました。日本をはじめ、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、チャイニーズ・タイペイ、タイの9カ国・地域(ベトナムがオブザーバー参加)の代表が参加し、日本からは「アジアおよび世界の化繊の中長期需給見通しおよび構造変化」について報告を行い、参加各国からも「カントリーレポート」等の報告が行われました。 PL(製造物責任)法製造物(製造又は加工された動産)の欠陥により生じた消費者の被害に対する企業の責任を明かにする法律で、1994年6月22日の第129国会において成立され、7月1日に法律第85号として公布され、1995年7月1日より施行されました。 それまでは、被害者が民法の不法行為の「故意・過失」を根拠として損害賠償請求をしてきましたが、PL法では、製品の「欠陥」を責任要件としています。 繊維製品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進我国のリサイクル推進に関わる法制度は1991年に施行された「再生資源利用促進法」が最初で、その施策は、廃棄物の増加、自治体処理施設能力の限界、廃棄物処分場確保の困難化などの一般的課題や、有害性や処理困難性など特定廃棄物の課題への対応を中心とするものでした。そして、その10年後の2001年に、現在のリサイクル推進の枠組みである「循環型社会形成推進基本法」に基づく法体系が整備され、特定課題の有無にかかわらず、資源を使用する者すべてに3R(リデュース、リユース、リサイクル)促進による廃棄物削減の責務が求められるようになりました。 リサイクル対策については、経済産業省の「循環経済ビジョン」(1999年)において、①排出量の多いもの、②資源の有用性の高いもの、③処理困難性の高いもの、の3つの優先度の高い分野から優先的に取り組むこととされています。 この観点から、容器包装リサイクル法(2000年4月施行)、家電リサイクル法(2001年4月施行)、食品リサイクル法(2001年5月施行)、建設資材リサイクル法(2002年5月施行)、自動車リサイクル法(2003年1月施行)といった特定品目を対象とするリサイクル法が次々と導入されていますが、繊維製品についてはこのような法規制は存在せず、各業種が取り組み可能な部分から自主的に3Rを推進しているのが現状です。 ケミカルリサイクル合成繊維製品を解重合などの化学的処理によりモノマーに戻し、再度原料として利用するリサイクル方法です。 従来合繊工場では、ナイロン6やポリエステルなどの製造工程で発生するポリマーや繊維屑のケミカルリサイクルが行われています。また、繊維系廃棄物では、ポリエステルやナイロン6製の易リサイクルユニフォーム(リサイクルし易いように企画した製品)、及びナイロン6製の産業用ネットが回収され、ケミカルリサイクルが行われています。ポリエステル製品については、回収したPETボトルなどを、石油から作ったバージン原料と同純度のDMTに戻し、完全なリサイクルを可能とする技術が確立されました。既に2002年より事業化され、PETボトルや繊維製品から、バージン原料で作るものと同等の繊維が生産されており、その環境負荷削減効果は、経済産業省の「繊維製品のLCA調査報告書」によって、石油からDMTを生産するのに対し、消費エネルギーで84%、二酸化炭素排出量で77%削減できることが実証されています。また2003年には、DMTをTPAに変換することによって、ボトル用PET樹脂にまで戻すことが可能となり、「ボトルtoボトル」が実現しました。 マテリアルリサイクル廃棄後、素材の物性を変えずに本来の製品用途以外の用途に使用する方法です。代表例としてペットボトルを再溶融してフレーク/ペレット化しポリエステル繊維の原料に使用することが行われています。ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどの合成繊維は、同一繊維で構成されていれば再溶融により別の成型品としての利用が可能となりますが用途が限定されています。なお、一般の繊維製品を裁断・反毛(多数の針で布を引っ掻き繊維状にほぐす)して、フェルトや詰めわたなどに再利用することも古くから行われています。 サーマルリサイクル可燃性廃棄物を焼却し、発生した熱を有効利用する方法です。この例としては、ゴミ発電、RDF(Refuse Derived Fuel-固形燃料)化、油化などがあります。繊維製品では、一部の企業で、使用済み衣料品などをRDF化して工場のボイラーなどで石炭の代わりに燃料として利用するサーマルリサイクルが実施されています。 その他繊維製品では、古着のリユースやリフォーム、布団の打直しのように形態を大きく変えずに、洗浄・補修・再縫製などにより再利用する方法が古くから行われています。 SI単位系(国際単位系)1960年の国際度量衡総会で、メートル法を基に“一つの物理量にはただ一つの単位:一量一単位”の原則に立った共通の単位系を設けることで、“いつでも、どこでも”実現できる一貫した単位系として、国際単位系(SIフランス語では“LeSysteme International d’Unites”、英語では“The International System of Units”)が誕生しました。 SEKマークSEKマークは,1989年8月に「繊維製品衛生加工協議会」が開始した、抗菌防臭加工を施した繊維製品の表示用語、評価方法・基準、安全性など認証制度(業界自主基準)です。その後1998年6月より制菌加工繊維製品についてもSEKマーク認証を開始。2002年6月には(社)繊維評価技術協議会と統合し、評価・標準事業、試験・検査事業、マーク推進事業、製品認証事業の4つの事業が行われています。
家庭用品品質表示法家庭用品についてのトラブルから消費者を保護するために設けられた法律で、繊維製品については、組成表示、取扱絵表示、はっ水性表示を行うことを定めています。取扱絵表示は、洗い方、漂白、アイロンかけ、ドライクリーニング、絞り方、干し方について絵表示(記号)が決められており、この表示を用いてその製品の取扱方法を示します。
クールビズ(Cool Biz)/ウォームビズ(Warm Biz)クールビズとは、「涼しい」や「かっこいい」という意味のクール(COOL)と、仕事や職業の意味を表す「ビジネス(Business)」の短縮形であるビズ(BIZ)をあわせた造語で、2005年4月に行われた環境省の公募によって選ばれました。環境省は、地球温暖化防止、省エネルギーの観点から、ネクタイや上着をなるべく着用せず(いわゆる「ノーネクタイ・ノー上着」キャンペーン)、夏季に28度前後の冷房の適温に対応できる軽装の服装を着用するように呼びかけており、全ての事業所等が冷房設定温度を26.2度から28度に上げることで、ひと夏に約160~290万トンの二酸化炭素を削減できると試算しています。 ウォームビズは、クールビスの秋冬版で、過度に暖房に頼らず、20度の暖房の適温でも暖かく働きやすい服装を指します。スリーピース(ブレザー・スラックス・ベスト)やスーツの内側にベストやセーターの着用となります。 TOKYO FIBER展(TOKYO FIBER SENSE WARE)日本の先端的な化学繊維を著名な内外のクリエイターの感性で作品化することでその機能や特徴を可視化し、世界への訴求を目的とした展示会です。 第1回展はテキスタイル展示会の旧ジャパン・クリエーション(JC)実行委員会の主催で、JC応援企画展として2007年4月に東京・表参道(青山スパイラル)、同年6月にフランス・パリ(パレ・ド・トウキョウ)で開催されました。来場者数は東京展が1.2万人、パリ展が3,600人(いずれもプレオープンを含む4日間)でした。 第2回展は日本化学繊維協会の会員7社(帝人、東レ、クラレ、東洋紡、旭化成せんい、ユニチカ、三菱レイヨン)、日本絹人繊織物工業組合連合会で構成する「TOKYO FIBER展実行委員会」が主催しました。第1回展に続き、ディレクションをグラフィックデザイナーの原研哉氏が担当。原氏の呼びかけで建築家、プロダクトデザイナー、自動車メーカー、家電メーカー、植物アーティスト、ファッションデザイナーなどが参加し、化合繊メーカーと共に17作品(サイン1つを含む)を制作しました。 第2回展の展示会は2009年4月にイタリア・ミラノ(トリエンナーレ美術館)、同9月に東京(東京ミッドタウン 21_21 DESIGN SIGHT)で開催され、ミラノ展に3.8万人(プレオープン含む7日間)、東京展に2万人(特別内覧日含む11日間)の来場者がありました。 TOKYO FIBER展実行委員会は2009年繊研合繊賞40周年記念賞を受賞。出展作品も単独で各種の賞を受賞しています。 tokyoeye tech 上海展示会経済産業省より伊藤忠商事および伊藤忠ファッションシステムが受託した高機能繊維素材の上海発信事業tokyoeye techプロジェクトに化繊協会が参画し、以下のとおり展示会を開催しました。
会 期:2011年3月4日(金)~6日(日)の3日間 本展示会は、三菱商事が経済産業省から受託して同じく上海で実施したtokyoeyeイベント(2010年12月下旬~2011年1月上旬)の対象3分野(「リアルクローズ」、「子供服」、「高機能繊維製品」)のうち、内容を「高機能繊維製品」に特化した発信事業です。 トータルコーディネーターとしてデザイナーの津村耕佑氏を起用し、「Functional Fantasy」をテーマに、化繊協会会員7社(帝人、東レ、クラレ、東洋紡、旭化成、ユニチカ、三菱レイヨン)が提供した各社の高機能繊維素材を同氏のデザインと融合させて紹介しました。会場では来場者が素材を手にとって機能を体感できる仕掛け作りや、モデルによるパフォーマンスによって日本の高機能繊維素材を上海の消費者や衣料企業関係者にアピールしました。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||