日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

強い繊維/強くて弾性がある
PBO繊維

最強クラスの強度と驚異の難燃性を誇る第3世代スーパー繊維

1998年、高強力・高弾性率が特徴のスーパー繊維に第3世代が登場します。東洋紡のPBO(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)繊維「ザイロン®」です。「ザイロン®」はパラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、高強力ポリアリレート繊維など既存のスーパー繊維の強度、弾性率を凌ぎ、耐熱性、難燃性にも突出しています。「ザイロン®」は80年頃に元々、米空軍が研究開発し、米ダウケミカルが重合法を開発、90年代にダウケミカルと東洋紡が繊維の量産化を共同開発しました。現在は、東洋紡のみが事業化しています。「ザイロン®」はパラ系アラミド繊維に比べて約2倍の強度と弾性率、100℃高い分解温度、さらに有機繊維の中では最高の68という限界酸素指数(LOI値、難燃性の指標で高いほど燃え難い)を有しています。
東洋紡は現在、年産300㌧の「ザイロン®」生産設備を有していますが、主力用途は優れた耐熱性や難燃性を生かした消防服や耐熱フェルトです。輸出比率も60%と高く、海外でも高い評価を得ています。高強度・高弾性率を生かした用途としては伝動ベルト、自転車チューブレスタイヤやスポーク、ヨットロープ、テニスラケット、卓球ラケット、スノーボードなどスポーツ用途があります。
また、「ザイロン®」は高級スピーカーの振動板にも使われています。振動板に求められる比弾性率(材料の弾性率を比重で割った数値)の高さと大きな内部損失を併せ持つ特徴が評価されています。

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