品質保証への取り組み

日本化学繊維協会 品質保証ガイドライン (2024年1月17日改定)

日本化学繊維協会加盟会社は、顧客が安心して使用できる化学繊維を提供するため、関連子会社を含め、以下の取り組みを推進する。

  1. 「法令、認証および顧客との取り決め遵守」と「品質保証」に関する意識の徹底
    1. 「法令、認証および顧客との取り決めの遵守」と、「品質保証」に関する意識の徹底を継続して行う。
    2. 業界で発生した事案等の品質保証に関する情報の共有化を図り、各社内での横展開を行う。
    3. 品質保証に関する教育を継続して行い、コンプライアンスおよび品質保証に関する意識の徹底を図る。
    4. 経営層は自己の責任・使命を自覚し、常にコンプライアンスの重要性について発信する。
  2. 不備・不適切な事例を発生させない仕組み
    • 品質保証のマネジメントの強化
      1. 品質保証を統括する役員を明確化する。
      2. 品質保証部門は、製造および営業から独立した仕組みとする。
      3. 第三者認証を取得する。また認証を取得しない場合においても第三者による監査等を通じて、自社のマネジメントシステムの定期的、客観的な評価を受ける。
    • 試験検査データの信頼性向上
      1. 手動・手介入が含まれる試験検査をはじめ、試験検査の実施から結果報告まで、データの信頼性を保証している仕組みの点検・整備を行う。
      2. 手動・手介入が含まれる試験検査に関しては、以下に着目した対応を行う。
        • 試験要員に対する十分な教育
        • 製造とは独立したもしくはそれに準ずるところからの試験指示
        • 試験内容と試験指示との合致確認
        • 試験結果の記録と一定期間の保管
        • 生データと検査成績書との突き合わせの実施(可能であれば抜き打ち検査が望ましい)
      3. 試験検査に関して手動・手介入を減らすシステムの構築を推進する。
    • 品質・技術レベルの実態と、公的規格や顧客との取り決め内容の整合性の確保
      1. 顧客とは品質保証に関し遵守可能な取り決めを締結するとともに、その遵守状況を確認する。
      2. 公的規格や顧客との取り決め内容が、品質・技術レベルの実態と整合性で課題のある場合、関係者と協議する等して、見直しに努める。
      3. 公的規格や顧客との取り決め内容の品質・技術レベルの実態に対しての妥当性を検証することが推奨される。
    • データ連携(デジタルトランスフォーメーションの展開)
      顧客との双方の利益のもと、サプライチェーンにおける品質データに関するシステム共有の可能性を検討する。
    • 事業分野をまたがる人材の流動性確保
      事業分野をまたがる人材の流動性確保に努め、閉鎖的な組織風土の形成や業務の属人化を回避する工夫を行う。
  3. 不備・不適切な事例を検出する仕組み
    • 定期的に品質問題に対する点検を実施する。
    • 社内第三者の視点(本社品質保証部門や所管相互の監査等)による任意の内部品質監査を実施する。
    • 必要に応じて、QMS監査とは別に、社外の監査機関の視点による品質保証活動の監視・監督を実施する。
    • 社内教育や会議、内部通報制度等により、不備・不適切な事例が検出できる環境を整備する。例えば、不備・不適切な事例がないかを問う個人アンケートの定期的な実施や不適正行為の存在または疑いを認識した場合の通報ルールを全社規程で明確にすることが望まれる。
    • 第三者認証機関等、社外に提出するサンプルについて適正な手続きで処理されているかを確認する。
    • 事業部再編や事業部新設、事業譲受など事業改編があった場合は、事業部門とは別の独立した部門が関与するなどして、改編した事業の適切な品質保証を図る。
  4. その他現場と経営層で品質に関する課題を共有化し、今後の改善に向けた取り組みを推進するための会議体等を設置する。

日本化学繊維協会は、加盟会社における取り組み状況等を踏まえ、必要に応じて品質保証ガイドラインの見直しを行う。