日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 中央アジア国家の繊維産業投資環境報告が発表される

2019年02月08日
日本化学繊維協会

中国 繊維政策

中央アジア国家の繊維産業投資環境報告が発表される

 このほど、中国紡織工業連合会、中国国際貿易促進委員会繊維業界分会は東華大学に委託した「中央アジア国家繊維産業投資環境研究」のプロジェクトが完成したことを明らかにした。中央アジアは中国政府が進める「一帯一路」の重要なパートナーであり、中国と中央アジア国家の繊維業界の発展状況、中国と中央アジア国家の繊維産業の協力の可能性を理解することが重要であるとして、このプロジェクトが開始された。
 1月17日、このプロジェクトの研究成果報告会が北京で開催された。報告会では、このプロジェクトの責任者から詳細な説明が行われた。とりわけ、シルクロード経済ベルトと上海協力機構の枠組みのもと、中国と中央アジア国家との繊維産業はどのように協力を展開するか、中国の繊維産業の投資家は中央アジア国家に対してどのように投資をするか、中央アジア国家の繊維産業の投資環境はどのようなものか、といった点について詳細な説明がなされた。
 「一帯一路」では、中央アジアは、国境の外でのスタート地点であり、中核地域である。中央アジア国家は石油や天然ガスなどの自然資源が豊富で、綿花生産も多く、優良な羊毛、カシミア原料が入手可能、シルク産業もポテンシャルがある。一方で、中国の繊維産業は、高付加価値加工で優位性があり、中央アジア国家の繊維産業の工業化・発展を助けることができる。
 現在、中央アジアの新たな繊維産業園は計画通り実施されている。2018年10月、ウズベキスタンでは中国技術を採用し栽培された綿花が収穫された。生産量は従来の栽培方法の2倍であった。中国国際綿花連合実験室計画は、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタンの3か国で計画中である。タジキスタンの中国タジキスタンKulob繊維産業圏の計画も予定通り進められている。現在、江蘇金昇集団は、ウズベキスタンに利泰紡織国際ウズベキスタン園区に投資している。同集団が投資する24万錘のプロジェクトは、1期12万錘が2017年7月に稼働開始、第2期工事は既に着工されている。この計画の投資総額は2億㌦でる。 
 同時に、報告書では、中央アジアへの繊維投資は、慎重であるべきと強調する。繊維企業は投資プロジェクトを検討し、投資リスクを判断し、中央アジア各国の宗教と民族問題及び金融と法律リスクを研究し判断すべきである、としている。
 また同報告では、様々な方法により、中央アジア国家の投資環境と産業の特徴などが分析されている。報告は、8章に分かれ、「中央アジア国家天然繊維原料の資源分析」、「中央アジア国家繊維産業構造と戦略」、「シルクロード経済ベルトと中央アジア国家間の繊維市場研究」、「中央アジア5か国の外国投資法研究」、「中央アジア国家投資環境研究」、「中央アジア国家の繊維産業園建設」、「中央アジア5か国の外国為替管理政策」、「中国と中央アジア国家の繊維産業の協力のチャンスと課題」の順になっている。
 報告では、中央アジア諸国の中でウズベキスタンの綿紡織、ニット、アパレル産業、タジキスタンの羊毛・毛紡織産業、トルクメスタンの綿紡織と毛紡織産業、キルギスタンのカシミア産業、綿紡織産業、タジキスタンの綿紡織産業に、協力の見通しがあり、中国の繊維企業が注目する価値がある、とされている。
 中央アジア諸国に対する投資の優位性について、報告では、近年、トルクメニスタンの経済成長が一貫して中央アジア諸国の首位にあり、次に続くのはカザフスタンであると指摘されている。キルギスタン政府は、繊維企業に対して多くの優遇措置を実施している。タジキスタンは世界で初めて中国とシルクロード経済ベルト建設共同推進備忘録を結んだ国である。報告の最後では、中国企業は中央アジア諸国に対する投資の目標モデルは、資源上の需給関係や製造業での技術の違いから出発するべきで、同時に多角的に中央アジア諸国を理解するべきである、と提言している。