日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(オーストリア) Lenzing、溶解パルプの増設完了

2019年07月30日
日本化学繊維協会

オーストリア 化繊原料 

Lenzing、溶解パルプの増設完了

 世界大手のレーヨン・リヨセル繊維メーカーLenzing AGが、オーストリアLenzingにおいて、溶解パルプ(DP)工場の増設・新鋭化を完了した。6,000万ユーロを投じて、年産30万㌧の能力を32万㌧に拡張した。工期は2年間。100人を新規雇用した。
 この増設により、レーヨン・リヨセル繊維の原料であるDPの自給化が向上し、原料価格に左右されない体質が強化される。同社のsCore TEN戦略では、原料自給率を75%に高めることを目標としている。
 同社はLenzingとPaskov(チェコ共和国)でDPを製造しており、現在の自給率は60%。Lenzing工場は、家具製造には適さないブナ材をDP原料として主に使用している。一方、Pascov工場はトウヒ材を主原料としている。残り40%のDPは輸入に依存しており、サステナビリティに関する厳密な調達ルールのもとで輸入先を選別している。
 Lenzingは2018年、南半球最大級の産業用木材パネルメーカーDuratex(本社:ブラジル・サンパウロ)と、単一では世界最大となるDP工場を建設するための合弁会社を設立することで合意しており、ブラジル・サンパウロ近くのMinas GeraisにDP工場を建設する計画である。
 同社は一方、DPの使用先となる繊維工場の新増設も進めている。2020年末までにタイのPrachinburi地区のIndustrial Park 304に、世界最大となるリヨセル繊維TENCELの工場を新設する計画である。工場の生産能力は年産10万㌧、投資額は約4億€である(海外速報2019年6月30日号)。