日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 2019年1-9月の繊維業界の業況

2019年11月20日
日本化学繊維協会

中国 繊維景況

2019年1-9月の繊維業界の業況

 中国紡織網によると、2019年に入り、繊維業界の国内外の環境は厳しくなり、需要は鈍化、貿易環境のリスクも高まったものの、繊維業界は、供給サイドの構造的な改革を堅持し、モデルチェンジ、アップグレードを進めたことで、業況は基本的に安定した。
 中国紡織工業連合会によると、第3四半期の紡織業界景気指数は前期比では0.1ポイント下落したものの、51.9と50以上の景気拡大を保持した。
 国家統計局によると、2019年1~9月、紡織業(紡績、織布、染色整理、家庭用繊維製品、産業用繊維製品等)の稼働率は78.0%と前年同期比2.6ポイント低下した。化繊は83.1%、同1.1ポイント上昇した。紡織と化繊とも全国工業(76.2%)を上回った。
 規模以上繊維企業の工業増加値は前年同期比2.9%増となった。その伸びは前年同期比横ばいであった。そのうち、化繊と産業用繊維品の生産工業増加値は、前年同期比12.3%増、7.4%増と高い伸びを示した。
 2019年に入り、アパレル国内市場の成長は安定しながらも減速傾向にあるが、インターネット販売は2桁成長を維持している。国家統計局によると、1~9月全国限度額以上アパレル、靴、帽子、ニット製品の小売額は前年同期比3.3%増となり、その伸びは前年同期より5.6ポイント下落した。全国インターネット衣類商品小売額は前年同期比18.6%増、高い伸びではあるものの、その成長速度は前年同期に比べ4.7ポイント減速した。
 1~9月の中国の繊維品輸出総額は前年同期比2.3%減の2,086億㌦となった。そのうち、紡織品は同0.4%増の943億㌦、アパレルは同4.5%減の1143億㌦であった。米中貿易摩擦の影響が業界にはまだ及んでいないものの、米国の追加関税措置が輸出に及ぼす影響は次第に現れつつある。1~9月、中国の米国向け繊維品輸出額は前年同期比3.3%減であった。米国向け繊維輸出の多くの商品は9月1日以降、15%の追加輸入関税がかけられたことから、9月の中国の対米繊維品輸出の減少幅は18.8%であった。
 2019年以降、繊維業界の収益への圧力は増加した。1~9月、規模以上繊維企業の売上高は前年同期比1.5%増の3兆7,153億元となりその伸びは前年同期より2.7ポイント下落した。利益額は前年同期比7.6%減の1,561億元と減益に転じた。営業利益率は4.2%で、前年同期を0.4ポイント下回った。各業界では、化学繊維、染色、ニットの利益総額は、前年同期比7.9%増、4.7%増、3.7%増と業界全体の平均より高かった。
 繊維業界の投資は落ち込んだ、1~9月、繊維業界の固定資産投資は前年同期比7.0%減となった。業界別にみると、紡織業、アパレル業、化繊業の投資額はそれぞれ8.2%減、2.0%減、15.4%減であった。
 2019年第4四半期及び2020年については、中国の繊維産業の発展環境の複雑性と不確定性は続く見通し。世界経済の成長減速、米中貿易摩擦の改善にはまだ時間がかかることから、繊維業界の輸出環境は楽観できない状況である。そのため、国内市場のポテンシャルを発掘することが重要な対応となる。中国政府は「六穏工作」(6つの安定:就業、金融、貿易、外資、投資、社会予測)を強化し、減税などの政策措置を実施、ビジネス環境を改善し、マクロ経済の安定を進めている。