日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 2020年上半期の化繊産業の業況

2020年08月28日
日本化学繊維協会

繊維業況

2020年上半期の化繊産業の業況

 中国化繊工業協会によると、2020年上半期の化繊産業の業況は以下の通りとなった。
 2020年第2四半期以降、国内の新型コロナウイルス問題が比較的好転したことに伴い、化繊企業の操業再開が加速し、川下のテキスタイル需要がある程度回復したことで、化学繊維の生産、投資など主要指標の減少幅が第1四半期から明らかに改善した。一方で、海外での新型コロナウイルス蔓延の影響から、輸出は大きく減少した。国際原油価格は4月の暴落後、上昇の勢いがみられ、化学繊維のプライス交渉で一定の支えとなった。2020年上半期の化学繊維業界は回復の兆しを示しているが、安定した業況までには依然として至っていない。
 ①化学繊維の需要
 国家統計局によると、1~6月の中国の衣類、靴、帽子類の小売販売額は前年同期比19.6%減となった。ただし、減少幅は1~3月より12.6ポイント改善した。インターネット小売販売額は前年同期比2.9%減少した。末端の需要の改善に伴い、化学繊維産業の主要川下製品である紡績糸、織物類の生産は減少を続けているものの、減少幅は1~3月から改善した。また、防疫物資として、上半期の不織布生産量は前年同期比6.6%増となった。1~6月の繊維製品輸出額は前年同期比1.9%増の1,308億㌦、2020年に入り、はじめて輸出の伸びがマイナスからプラスに転じた。
 ②化学繊維生産
 1~6月の化学繊維生産量は、前年同期比0.98%減の2,811万㌧と、ほぼ前年同期の水準まで回復した。そのうち、ポリエステルは前年同期比0.04%増の2,237万㌧、ナイロンは同1.32%増の201万㌧となったが、レーヨン短繊維は、同32.74%減の137万㌧の大幅減となった。スパンデックスは同0.27%増の39万㌧であった。
 ③化学繊維輸出入
 1~6月の化学繊維輸入量は前年同期比15.2%減の38万㌧となった。これは3月以降の海外でのコロナ渦が悪化したことによる。この影響は輸出により顕著に表れた。1~6月の化学繊維の輸出は同19.2%減の194万㌧となった。そのうち、ポリエステル長繊維は同14.8%減の114万㌧、ポリエステル短繊維は同32.6%減の34万㌧、レーヨン短繊維は同21.2%減の16万㌧であった。
 ④化学繊維企業の業績
 国家統計局によると、1~6月の化学繊維業界の主要業務収入は前年同期比18.4%減の3,494億元となった。利益総額は同41.9%減の72億元であった。赤字企業の割合は42.8%となった。品種別には、スパンデックス、ポリプロピレンを除いて、主要品種の利益総額は低下した。
 ⑤化学繊維業界の新規投資
 1~6月の化学繊維業界の固定資産投資額は前年同期比16.9%減となった。ただし、減少幅は1~3月より2.3ポイント改善し、第2四半期以降の企業の投資意欲が回復したことを示している。