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ICI Pakistan、リサイクルポリエステル繊維の追跡開始

　このほど大手ポリエステルメーカーのICI Pakistan Limitedは、先端的なトレーサビリティ技術を提供するシンガポール企業FIBRETRACEと共同でリサイクルポリエステル繊維のトレーサビリティを開始することを明らかにした。
　トレーサビリティ対象となるのは、ICI Pakistan Limitedが生産している完全リサイクルポリエステル繊維の「Terylene Clean」。繊維品のトレーサビリティ調査を目的としたパートナーシップはパキスタンでは初の試み。
　「Terylene Clean」は、使用済みPETボトルをリサイクルして作られた繊維であり、これにFIBRETRACEが開発したトレーサビリティ技術を埋め込み、原材料の調達から試験、検証など、バリューチェーン中のさまざまな段階でリサイクルPET繊維の含有状態を追跡することができるという。この技術はFIBRETRACEの特許を取得済み。
　ICI Pakistanは、世界的な持続可能性への意識の高まりから、ブランド企業は、自社製品にサステナブルな素材を使用し、これをアピールしたいと考えるようになった。こうした動きを背景にトレーサビリティ過程を透明にすることは、非常に重視されるようになっていると述べている。また、製品偽装に対する警戒心の高まりもある。最近の報道では、リサイクルポリエステルの3分の2がバージンとの構成比を偽装していたと報じられたこともあった。ICI Pakistanは、こうした疑いを払拭する目的もあり、「Terylene Clean」にトレーサビリティ技術を導入、他社に先駆けて透明性確保のための活動を展開し、業界の先例となることを決定したとしている。
　ICI Pakistanのポリエステル事業部門のNauman Shahid Afzal氏は、「リサイクルPET繊維産業に今求められているのは、透明性の確保だ。ICI PakistanはFIBRETRACEとのパートナーシップを通してこれを実現していきたいと考えている。今後は、トレーサビリティ技術を採用した「Terylene Clean」を使用すれば、原料の調達から店舗に並ぶ段階まで、リサイクル繊維の使用状況を追跡することができるようになり、ブランド企業は、信頼性の高い購買活動の展開が可能になる」と述べている。
　さらに、「Terylene Clean」を使用することで、持続可能なテキスタイルブランドに付与される世界的な認証であるGRSやOEKO-TEX、Ecoflowerなども取得しやすくなるとしている。
FIBRETRACEによると、「Terylene Clean」では、これまで2.5億本以上のPETボトルをリサイクルしており、樹木に換算すると20万本分以上の炭素排出量を抑制する働きをしている。FIBRETRACEは、「ICI Pakistanは、2022年までにPETボトルの年間リサイクル能力をPETボトル120億本まで引き上げる計画」と述べている。