日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
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(中国) 政府、繊維品廃棄物の循環利用を推進へ

2022年04月20日
日本化学繊維協会

繊維政策

政府、繊維品廃棄物の循環利用を推進へ

 4月11日、中国国家発展改革委員会、商務部、工業情報化部の3部門は、「繊維品廃棄物の循環利用の推進に関する実施意見」を発表した。
 同実施意見が提示した主な目標は以下のとおり。
・2025年までに繊維廃棄物の循環利用体系を初歩的に確立させ、繊維廃棄物リサイクル能力を大幅に上昇させる。これにより、繊維廃棄物のリサイクル率を25%、リサイクル繊維の生産量を200万㌧とする。
・2030年までに繊維廃棄物循環利用体系を確立し、生産者と消費者のリサイクル意識を顕著に高め、リサイクル品の高付加価値的利用に向けた用途を発展させる。繊維廃棄物のリサイクル率を30%、リサイクル繊維の生産量を300万㌧とする。
 また、繊維産業のグリーン低炭素生産を推進するとして、以下の取り組みを進める方針を示した。
・分解、分離、回収しやすいなど繊維製品のグリーン設計を推進。
・繊維企業によるグリーン繊維原料の使用を奨励するため、グリーン製品の標準、認証、表示体系の構築を強化する。
・企業が中国繊維服装企業の社会責任管理システムを実施することを奨励し、繊維製品生産者の社会的責任を強化する。
 このほか、リサイクル繊維の総合的な利用促進については、建築材料や自動車の内外装、農業、環境改善などの分野での利用推進や、軍服、警察服、制服などでのグリーン繊維の利用拡大、グリーン設計を推進するとしている。
国家発展改革委員会は、実施意見の発表に合わせて記者会見を実施、以下が主な質疑応答である。
 問:「実施意見」はどのような背景から出されたものか?
 答:繊維廃棄物の循環利用は、中国の繊維産業の原料供給を効果的に補うことで資源と環境を保護する重要な措置であり、グリーン・低炭素循環経済体系を確立する重要な要素である。近年、中国政府は繊維品廃棄物の循環利用を重視し、優遇税、資金支援などを通して業界の発展を後押ししている。しかし、回収体系が整備されていない、重要技術が脆弱である、業界標準が整備されていないなどの課題が存在する。循環利用を一層推進するため、「実施意見」を制定し発表した。
 問:「実施意見」ではどのような具体的措置が盛り込まれているのか?
 答:繊維品廃棄物の①生産、②回収、③総合利用の3つにフォーカスをあて、9つの具体的措置を明確化している。①グリーン低炭素生産の推進では、グリーンデザインの推進、グリーン繊維の使用奨励、生産者の社会責任強化の3つの措置を打ち出している。②回収体系の整備では、回収ネットワークの整備、回収ルートの開拓、回収管理の強化の3つの措置を打ち出している。③総合利用の促進では、リサイクルの規範化、リサイクル産業の発展促進、制服等のリサイクルの重点的実施の3つの措置を打ち出している。
 問:「実施意見」に関する政府の具体的対応は?
 答:3つの政策支援・保障措置を打ち出している。すなわち、①標準を完成させる。回収、消毒、選別、総合利用など一連の標準を整備する。また、繊維品廃棄物の循環利用の管理方法、規範とのその条件、技術要求などを整備する。②科学技術イノベーションを加速させる。重要技術を国家重点研究開発計画に組み入れ、繊維品廃棄物の高効率選別、混紡素材の分離、リサイクル重点技術と設備の問題を解決する。そのため、産学研協力を奨励し、先進技術開発と産業化を加速させる。③政策支援の強化。税優遇政策を実施するほか、条件に合致する企業のグリーン社債発行を支持する。また、一定条件のもと繊維廃棄物循環利用に対する資金支援を奨励する。
 問:「実施意見」の有効な実施をどのようにして保障するか?
 答:3つの作業を打ち出している。すなわち、①地方の関連部門が徹底して職責を実施することを要求する。②大中型都市が率先して繊維品廃棄物の循環利用体系を確立、中核企業を育成し、重点計画とすることを支持する。③効果的な宣伝。公共機関のリサイクル品使用の奨励、企業のリサイクル繊維使用活動、イノベーションデザインコンペティション、普及活動などを展開し、社会全体が共同で参加する雰囲気を作る