日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(オーストリア) LENZING、ECOVEROを増設へ

2022年12月09日
日本化学繊維協会

設備

LENZING、ECOVEROを増設へ

 オーストリアのLENZINGが、この度、セルロース繊維「ECOVERO」の工場を増設することを発表した。
 ECOVEROは、2017年に環境配慮型セルロース繊維のブランドとして生産が開始された。この度の増設は、ECOVEROの生産が累計で30万㌧に達したことを受けてのことという。なお、ECOVEROの生産は、オーストリア工場と中国工場で行われており、現在インドネシア工場が建設中である。
 同社のサステナビリティへの取り組みは、世界的に広く認知されている。先月発表された「2022 Hot Button Ranking and Report」(カナダ森林保護NGOのCanopyによる、セルロース繊維メーカーに対する森林保護ランキングレポート)では、第1位を獲得している(海外速報No.1282既報)。ECOVEROは、2022年現在、500以上のブランドに使用されている。たとえば、OrtaとFarmRioは、自社のサステナビリティへの取り組みのアピールの一つとして、ECOVEROの使用を挙げている。また、Massimo DuttiやLacoste、ba&sh、Zara、Mango、Tom Tailor、Lindex、Marks & Spencerといった欧州ブランドのほか、American EagleやLevi’s、Tommy Hilfigerといった米国ブランド、オーストラリアのKmart AustraliaやTarget Australia等が、ECOVEROを使用している。
 この度のECOVERO増設について、同社のProduct Management Textiles部門でHeadを務めるCaroline Ledl氏は、「ECOVEROの生産が30万㌧に達したことを記念し、2023年にECOVEROを増設することとなった。ECOVEROの生産拡大により、我が社のバリューチェーンのパートナーたちは、サステナビリティへの取り組みを強化できるようになる」とコメントしている。
 繊維産業では、バリューチェーンで「グリーンウォッシュ」(企業が表面上、環境保護に熱心に取り組んでいるようにみせること)への懸念が高まっており、ブランドにとっては素材選択の重要性が高まっている。LENZINGは革新的な繊維認証技術をもっており、ブランドに対してトレーサビリティ(流通の透過性)を提供できるようになっている。2023年には、新たなイニシアティブを開始する予定であり、同技術の使用のしやすさと影響力は今後高まるとみられる。
 同社のGlobal Marketing and Branding部門でVice Presidentを務めるHarold Weghorst氏は、「ECOVEROブランドを立ち上げた当時は、サステナビリティへの取り組みの一つとして
ECOVEROを使用するブランドは少なかった。あれから5年ほど経った今、ECOVEROが多くのブランドに使用されるようになった。今後は、持続可能性のほかにも、トレーサビリティやトランスペアレンシー(情報の透明性)の強化に役立ててほしい」とコメントしている。