日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(ポルトガル) SGL Carbon、Lavradio工場を閉鎖へ

2025年05月20日
日本化学繊維協会

炭素繊維

SGL Carbon、Lavradio工場を閉鎖へ

 5月5日、ドイツの大手炭素繊維メーカーSGL Carbonは、赤字事業である炭素繊維事業部の再編の一環として、アクリル繊維と炭素繊維プリカーサを製造しているLavradio工場の閉鎖を決定した。同工場は炭素繊維事業部の7拠点のうちの1つで、従業員は現在約250人。
 SGL Carbonは2025年2月に炭素繊維事業の再編を発表していた。 事業再編の目的は、赤字事業を削減し、収益性の高い中核事業に集中することであり、不採算事業所の閉鎖を含め、炭素繊維事業部門の全事業所について個別の解決策を策定中としていた。
 SGL Carbonによると、繊維製品に対する需要がここ数年で大幅に減少しており、加えて、アクリル繊維と炭素繊維の世界的な過剰生産、価格の大幅な下落が重なった。このため同社の炭素繊維事業は多額の損失を計上している。欧州では、アジアに比べてエネルギーコストを含む製造コストが高いため、同社の製品は特に価格競争の影響を受けている。現状からは今後の状況改善と製造コストの大幅な削減は期待できない。
 工場閉鎖は、利害関係者との協議のもと段階的に実施され、2025年6月に閉鎖され、2026年末までに完全に手続きを終了する。なお、既存の契約は履行するとしている。
 SGL Carbonは、「欧州の繊維生産の将来見通しは暗い。欧州最後のアクリル繊維メーカーとして、Lavradio工場を閉鎖することを決定、第一段階で約190人の従業員が解雇となる。Lavradio工場の長い歴史を考えると、閉鎖を決定するのは容易なことではないが、同工場は何年にもわたって損失を出し続けており、SGL全体に大きな重荷となり、改善の見通しは立っていない。これ以上の損害を防ぐため行動する必要がある。」と述べている。