化学繊維の用語集

Glossary of Chemical Fibers

原糸原綿

ポリマー(高分子)を揮発性の溶剤で溶かして、紡糸口金(ノズル)の小さな孔から高温空気中に押し出して引き伸ばし、溶剤を揮発させて糸にする方法。

アセテート、ポリウレタンなどの紡糸で使われている。

ポリマー(高分子)を溶剤で溶かし、凝固浴と呼ばれる溶液中で紡糸口金(ノズル)の小さな孔から押し出し、溶剤を化学反応させてポリマーを析出し、糸にする方法。

レーヨン、ビニロン、アクリルなどの紡糸で使われている。

わた状の短い繊維。フィラメントよりも孔数の多い口金を使って紡糸した後、連続した繊維の束を引き伸ばして、捲縮(クリンプ)を付与し、短くカットして作る。

連続した長さを持つ繊維。衣料品などで使われるフィラメントはマルチフィラメントと呼ばれ、数本から数十本のフィラメントで形成される。

歯ブラシや釣り糸などではモノフィラメント(1本のフィラメント)が使われている。

ポリマー(高分子)を液状にして、紡糸口金(ノズル)の小さな孔から押し出して引き伸ばし、糸を作る工程。「溶融紡糸」「湿式紡糸」「乾式紡糸」の3つの方式に大別される。

熱を加えてポリマー(高分子)を溶かし、紡糸口金(ノズル)の小さな孔から押し出して引き伸ばし、糸にする方法。

ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの紡糸で使われている。

高次加工

針やフックを使用して糸のループを連続させて形成した布地。

経編、横編、丸編などの種類がある。

タテ糸とヨコ糸が互いに直角かつ上下に、一定の法則に従って組織された布地。

平織、綾織、朱子織の3種類を基本組織とする。

化学繊維の熱可塑性を利用してポリエステルやナイロンなどのフィラメント糸にクリンプを形成し、かさ高性や伸縮性を付与する加工。

糸に撚りをかけた状態で加熱・冷却することで、撚り変形をフィラメントに固定させ、その後、撚る方向と逆方向に撚りをかけることによって、クリンプが形成される。

布地の表面を針や突起物で摩擦して、布地に細かい毛羽を立たせる加工。

風合いを柔らかくしたり、保温性を高める効果がある。

ポリエステル長繊維織物をアルカリ溶液中で加熱処理し、繊維表面を溶かして繊維と繊維の間に隙間をつくることにより、しなやかでドレープ性に優れた織物とする加工。

2種類以上のステープルを混合して紡績する工程。種類の違う繊維の長所を取り入れて、機能面や品質面などで優れた糸を作ることができる。

繊維および繊維布帛に付着している不純物、油剤などを取り除く染色の前工程。

糸や布などに染料や顔料で着色する工程。

織ったり、編んだりせずに作る布地。

繊維の薄いシート(ウェブ)を接着剤の使用や繊維同士の交絡によって接合し、シート状に形成する。

ステープル(短繊維)を紡いで糸にする工程。

撚りをかけた糸、または糸に撚りをかけること。撚りは繊維の分散を防ぎ、糸に強力と弾性を与え、糸の外観や風合いを変化させる。

改質改良

化学繊維の断面は通常円形であるが、機能性を付与するためにそれ以外の断面形状にした繊維。

三角、Y字、W字など通常紡糸口金(ノズル)の孔の形状で断面形状を付与する。

表面に長い房状の繊維(ハイパイル)を有する織編物で、毛皮に似た外観、風合いを備えたもの。

織編物などを基布にして表面にコーティングを施した合成皮革に対して、人工皮革は超極細繊維の不織布にポリウレタン樹脂などを含浸する手法で作られたもの。

ストローのように、内部が空洞になった繊維。

直径が100nm以下、長さが直径の100倍以上の繊維状物質。

2種類以上の異なる素材を組み合わせることで、素材単独では有することのできない特性を発揮する材料。複合材料の代表例として、炭素繊維をエポキシ樹脂などのプラスチックで固めた「炭素繊維強化プラスチック(CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics))」がある。

成分の異なる2種類以上のポリマー(高分子)を2つ以上に区切られた紡糸口金(ノズル)から同時に紡糸し、1本の繊維としたもの。

一般的な概念として、繊度が1デシテックス(dtex)以下、または直径が10マイクロメートル以下の繊維(「ナノファイバー」を含めないことが多い)。

機能素材

水分子が物質に吸着するときに水和熱(吸着熱)と呼ばれる微量な熱が生じるが、この仕組みを利用して吸着熱の発生を高めた繊維素材。

汗を素早く吸収して乾かし、衣服内をドライで快適な状態に保つ素材。

繊維に抗菌剤を付着させ、菌の増収を防ぐことにより、防臭効果を与える素材。

太陽光に含まれる赤外線や紫外線を反射または吸収して遮蔽する機能性を付与した素材。

ポリウレタンのような繊維の弾性、繊維の形態を利用した伸縮する素材。

テキスタイルに電子デバイス(センサーなど)を組み込み、従来のテキスタイルだけでは持ちえない機能性(生体情報のセンシング、位置情報伝達など)を持たせたテキスタイル。

肌が触れたときにひんやりとした冷たさを感じる素材。

主に夏用の衣類や寝具などで使われている。

静電気の発生を抑制し、物体が電荷を帯びるのを防ぐ素材。

太陽光などの光エネルギーを吸収し、吸収した光エネルギーを熱エネルギーに変換する特性を有する材料を繊維に使用して、衣服内を蓄熱保温する素材。

外気からの雨は衣服の中に侵入せず(防水)、皮膚から発散する汗(水蒸気)は外気へ出す(透湿)という相反する2つの機能を兼ね備えた素材。

炎などに近づけたときに燃えないか、または燃えても広がらず、炎を遠ざけると消える繊維。

汚れが付着しにくいか、または付着した汚れが洗濯などで落ちやすい機能性を付与した素材。