日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(E U) 欧州委員会、循環経済行動計画を発表

2020年03月19日
日本化学繊維協会

EU  繊維政策

欧州委員会、循環経済行動計画を発表

 3月11日、欧州委員会は「EU Circular Economy Action Plan」(循環経済に関する行動計画)を発表した。昨年12月に発表された「欧州グリーンディール計画」の中核との位置づけである。
 欧州委員会は、現状の「使い捨て社会」は持続可能ではないと認識し、地球温暖化ガスの半分は資源の採取や加工の過程で排出されることなどを踏まえ、2050年までにEU域内の排出を実質ゼロにすることをめざす。これらの対策でEUの域内総生産(GDP)は2030年までに0.5%押し上げられ、70万人の雇用が創出される、としている。
 本行動計画では、分野ごとのアクションプランについても記されており、「プラスチック」分野においては、マイクロプラスチックへの対応に重点が置かれている。マイクロプラスチックの意図しない放出に関するラベリング、標準化、認証などの開発、特にタイヤや繊維から意図せず放出されるマイクロプラスチックの測定方法の開発、海水中のマイクロプラスチックに関するデータ収集などが記されている。また、包装材では、すべての商品の包装について、2030年までに再利用・リサイクル可能なものに置き換える、などが記されている。
 「繊維」分野においてでは、一次原料と水の使用量において、食料、住宅、輸送に次ぐ第4位、地球温暖化ガス(GHG)排出量では第5位であること、世界では使用済み繊維製品が新製品にリサイクルされるのは1%未満と推定されていること、EUの繊維産業は中小企業が大多数であり、EUの衣料品市場額の60%は輸入であること、などの現状認識が示されている。
 そのうえで、繊維製品が循環性に適合することを確保するためのエコデザインを決定すること、化学物質管理の仕組みの整備、消費者がサステナブルな繊維製品を選択しやすくすること・リユースや修理を利用しやすくすること、循環型繊維製品開発のためのビジネス環境及び規制環境を改善すること、特に、循環素材、生産プロセスに対するサポート、2025年までに高レベルの分別収集を達成するためのガイダンス提供、イノベーションを含めた繊維製品の3Rの促進、拡大生産者責任のような規制措置を奨励することなどが触れられている。
 欧州委員会は、詳細を詰めた上で法案をまとめ、2020年以降、加盟国と欧州議会の承認を得て実行に移す方向である。