日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(欧州) EURATEX、ポストコロナの繊維産業強化策を要請

2021年03月10日
日本化学繊維協会

繊維政策

EURATEX、ポストコロナの繊維産業強化策を要請

 2月23日、欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、EU Industry Days 2021(2月23~26日)にあわせて、欧州委員会およびEU加盟各国に対し、ポスト新型コロナウイルス(COVID-19)における、繊維産業の競争力と強靭性の強化策を求める声明を発表した。
 EUの繊維産業は、中小企業を中心に16万社、雇用人数は150万人、産業規模は1,620億€を占める非常に重要な産業である。
 EURATEXは、声明の中で、欧州委員会および加盟各国(以下、欧州)は、以下の一連の措置を講じるべきと主張している。
 ①欧州は、効果的な市場監視を実施し、不公正な競争を回避し、公平な競争条件を保証すべきである。欧州は、最も厳格な社会・環境基準を有しており、同基準をクリアした製品の保護を強化すべきである。例えば、EU域外で製造されたマスク等が上記基準を満たしていないことをよく耳にする。行動する時が来ている。
 ②欧州は、基金や補助プログラムを通じて、繊維産業の持続可能なデジタル産業への移行をサポートする必要がある。中小企業は、その規模やリソースの制約があるため、短期的な製品開発、技術革新の能力に欠けている。また、サプライチェーンが多様化している繊維産業では、近隣地域での生産をさら拡大することで、将来のリスクを軽減する必要がある。欧州は、新しい通商政策において、繊維産業の活性化を果たすことができる。
 ③欧州は、持続可能な循環経済に移行する際、市場に即したアプローチを採用すべきである。移行プロセスにおけるコストと長期的なメリットのバランスを慎重にとる必要がある。移行が短期的/中期的に利益をもたらさない場合、企業と市民は急速に関心を失う可能性がある。
 ④欧州は、繊維産業に関する包括的で最先端な知識を発展させるため、教育システム及び教育機関をサポートすべきである。繊維業界は労働力の高齢化に悩まされており、若い世代を惹きつけ、自らを再生させ、変革を推進させることが重要である。
 ⑤欧州は、様々な分野で規制を行う際、一貫したアプローチが必要である。欧州グリーンディール、持続可能な化学物質戦略、EUの通商戦略、EUの産業戦略など、すべての政策は一貫したものであり、産業の発展を阻害するものではあってはならない。
 EURATEXは、「近く発表される欧州の繊維戦略は、繊維業界や政府当局が将来を見据えたビジョンを策定する絶好の機会となる。欧州がこのチャンスを逃すと、産業における重要な生態系を失う危険がある。繊維製品は自動車から道路まで、至る所で活用されており、影響を受けるセクターは多岐にわたることを留意すべきだ」と述べている。