日本化学繊維協会(会長 内川 哲茂 帝人株式会社 代表取締役社長執行役員CEO)では、本日11時より第715回 本委員会を開催しました。
主要議題およびその概要は以下の通りです。
1. 正副会長の交代
2024年度の竹内 会長、藤井 副会長が退任し、2025年度会長に内川 哲茂 帝人株式会社 代表取締役社長執行役員CEO、副会長に川原 仁 株式会社クラレ 代表取締役社長、専任副会長に富𠮷 賢一 理事長が選任されました。
任期は2026年6月30日までの1年間です。
2. 2024年度「化学繊維ミル消費量の調査」結果
2024年度「化学繊維ミル消費量調査」結果について、以下の通り、報告がありました。
2024年度の化学繊維ミル消費は、前年度比0.9%減の76.6万㌧、3年連続の減少、2000年の調査開始以来最低水準となりました。
国産品は4.5%減の33.6万㌧、輸入品は2.0%増の43.0万㌧、国産品は減少、輸入品は増加となりました。輸入品比率は、前年度比1ポイント上昇の56%となりました。
用途別には、衣料用:家庭・インテリア用:産業資材用の割合は、16:52:32と、前年度にくらべ、家庭・インテリア用が1ポイント上昇、産業資材用が1ポイント下落しました。
3. 化繊協会のサステナビリティ推進について
「⽇本化学繊維協会のサステナビリティ対応⽅針(2021 年7 ⽉)」に掲げた「資源循環」や「環境負荷低減」について、2025年度は8つのテーマを掲げて対応を進めていくこととしました。
8つのテーマのうち、①再⽣原料を使用したリサイクル繊維の拡⼤、②繊維to繊維リサイクルの実現に向けた検討、③バイオ化繊の拡⼤、④マイクロプラスチック問題の対応、⑤化繊産業のカーボンニュートラル取組み、⑥化学物質管理問題と環境負荷物質排出抑制 の6テーマは前年度からの継続で、⑦化学繊維のLCA(ライフサイクルアセスメント)と ⑧CSR調達の対応 の2つが新規テーマとなります。
4. 2025年度 日本化学繊維協会活動
2025年度 日本化学繊維協会活動について
1. 環境認識と基本方針
日本を取り巻く環境としては、脱炭素、循環経済などの地球規模の環境問題、ビジネスと人権への対応などサステナビリティ課題の重要性がより強く認識される一方、ウクライナ、ガザにおける紛争が数年にわたって続く中、米国の相互関税問題もあり、経済社会への幅広い影響が懸念される。
このような情勢ではあるが、日本化学繊維協会は、「中期活動方針2025」にある、1)サステナビリティの推進、2)競争力の基盤維持・強化、3)情報発信の拡充 の3つの活動が引き続き重要であると考え、その方向性を継続し推進する。
2. 2025年度の主な活動内容
1)サステナビリティの推進
①「繊維製品における資源循環ロードマップ 」への対応
・資源循環の効率化の目的でトレーサビリティ情報項目の標準化(JIS化)、環境配慮型化学繊維(リサイクル化繊、バイオベース化繊)の表示方法の国際標準化(ISO化)等に取り組む。
・脱炭素、循環経済などの観点から繊維製品の環境配慮設計が求められており、化学繊維のLCA(ライフサイクルアセスメント)の算定手順の整備を検討する。
・環境配慮型化学繊維(リサイクル化繊、バイオベース化繊)の市場拡大を目指して、グリーン購入法等の見直し検討に対応する。
②サプライチェーンにおける支援活動
・人権デューデリジェンスに関しては会員企業のみならず、関係先の理解促進に努める。
・産地企業の負荷となっているCSR調達アンケートの標準様式等について検討する。
2)競争力の基盤維持・強化
①標準化活動の推進
・ACFIF(アジア化繊産業連盟)標準化作業委員会の共同事務局として、各国・地域の協調体制を構築するとともに、標準化の推進によって先端繊維素材の普及を目指す。
②情報収集活動、人材育成
・欧州等におけるエコデザインや企業のサステナビリティデューデリジェンスなどの制度に対応するため、海外の調査・情報収集を行い、講演会開催等を実施して会員企業間の情報共有を進める。
・今年度も福井大学のテキスタイルサイエンス寄付講義等を通じ、大学や産地における育成支援と人材確保につなげる。
3)情報発信の拡充
・新たに作成した刊行物「化学繊維を知ろう」とリニューアルしたホームページを活用して化学繊維の正しい理解と認知度向上を図る。
・大阪・関西万博開催を機に、大阪ATCグリーンエコプラザ「エコマークゾーン」を活用し、製品を見て・触れる機会を設け、環境配慮型化学繊維の理解を促す。
4)アジア化繊産業会議
・2026年5月にマレーシアで開催予定の第15回アジア化繊産業会議において、アジア化繊業界のプレゼンス向上を目指し、化学繊維のサステナブルな成長に向けた課題等について議論し、共通認識を形成する。
5)協会活動の最適化
・今後も時代に沿った活動と組織全体の最適化を図るべく協会運営の効率化について検討する。この一環で、他団体と相互に効果が期待できる連携・協力体制についても検討し、時代の変化や会員ニーズにフレキシブルに対応できる協会を目指す。
6)「中期活動方針2025」終了後の協会の方向性検討
・日本の化繊産業を取り巻く環境の変化を踏まえて、協会が対応するべき課題を見定めて、次年度以降の協会活動の方向性を検討する。
以上