米国 繊維景況
2018年の米国繊維産業の現状—NCTO
全米繊維団体協議会(NCTO)の第16回総会でMarty Moran会長が「米国の繊維産業の現状」を講演した。概要は以下の通り。
トランプ大統領の各種の政策により、繊維産業及びNCTOにとって驚くべき1年であった。NCTOはトランプ大統領及び議会と協力して、各種政策を進めていく。主要指標は以下の通りで、一部で不調なマーケットもあるものの、全体では堅調であった。
<出荷額>
・2018年の化繊、紡織、衣料等の繊維産業の出荷額は768億㌦。2017年の730億㌦より増加。2009年より12%の増加。
2018年出荷の内訳(10億㌦)
化繊(推定) 7.7
糸・生地 30.0
家庭用など紡織製品 27.4
衣料 11.6
<設備投資額>
・設備投資額は2009年の9.6億㌦から2018年は79%増の17億㌦に増加。
<雇用>
・2018年は594,147人。1995~2008年に雇用は激減したが、現在は安定して推移している。
化繊(推定) 25,100
糸・生地 112,575
家庭用など紡織製品 116,042
衣料 112,692
綿農家・関連産業 126,553
羊毛・関連産業 101,186
<輸出額>
・2018年の輸出額は301億㌦で、2017年の286億㌦の5.4%増。NAFTAおよびCAFTA-DR向けが全体の47.5%を占めている。
-2018年輸出の製品別内訳(10億㌦)
綿・羊毛 6.7
糸 4.4
生地 9.1
家庭用など紡織製品 3.8
衣料 6.1
-2018年輸出の相手別内訳(10億㌦)
USMCA 11.7
CAFTA-DR 3.5
アジア 2.8
欧州 2.7
その他 2.8
・米国は世界第2位のファイバー、糸、生地、紡織製品(衣料を除く)輸出国である。
<政策問題>
・トランプ大統領が指摘しているように、この10年、政府が国内製造業を軽視してきた結果、米国は弱体化した。NCTOは、自由かつ公平な貿易の推進、通商法の強化、税制改革、バイ・アメリカ、規制緩和、インフラ再強化、低コストエネルギー確保、保険制度の安定といったトランプ大統領のマクロ政策を全面的に支持する。通商関係についても、米国の利益のため、公平性と相互性を重視するトランプ大統領の政策を支持するものである。
・米国繊維産業の重要な輸出先となっているNAFTAについては、ヤーンフォワードルールを堅持する一方、TPLの廃止、一部の原産地規則の改定、バイ・アメリカの重視などを踏まえた見直しが必要である。
・スーパー301条をもとにした中国との貿易問題について、NCTOは中国に高関税を賦課するトランプ大統領の措置を支持するものであるが、一方で一部製品に関してはNCTO会員の不利益になるのも事実である。たとえば繊維加工で使用される染料や化学品への関税引上げは製造コストの増加をつながる。NCTOは政府に対し、対象製品の慎重な決定を引き続き求めていく。
<その他>
・1年前に米国化繊協会(AFMA)を合併したが、会員の増加、財源の充実、政策範囲の拡大、発言力強化など成功であった。