日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 中国化繊業界投資感度分析(2020年)発表

2020年04月09日
日本化学繊維協会

中国 化繊政策

中国化繊業界投資感度分析(2020年)発表

 3 月 23 日、中国化繊工業協会(CCFA)は、「中国化繊業界投資感度分析 (2020 年)」を発表した。CCFA は、これまでも中国の国家関連産業政策、業 界の科学技術の進歩、内外市場の発展状況などに基づいて、適宜、この分 析の調整と修訂を行ってきた。今回の分析は「産業構造調整指導目録(2019 年)」、「外商投資を奨励する産業目録(2019 年)」、化繊業界関連規範条件 など国家の産業政策を参考したうえで、化繊業界の業況、発展の実情を踏ま え編制されている。
 CCFA によると、現在、世界経済の下向き圧力は大きくなる一方で、国内外 の環境は複雑化しており、各種リスク、不確定要素は明らかに増大しており、 このため、中国の化繊業界が直面する課題としては、如何にして健全で持続 可能な発展を保持するかがポイントである。理性的な投資は、企業のイノベ ーションを促進し、業界構造の最適化、アップグレードを推進し、業界の全体 的な競争力を強化することができる。このため、CCFA は、今回「中国化繊業 界投資感度分析(2020 年)」を発表し、化繊企業の穏健な投資を指導し、業 界の健全な発展を促進することを目指している。
 この分析は、化繊業界に存在する、もしくは存在する可能性のある投資障 壁、リスク(特に新規参入者に対するリスク)を分析し、投資リスクの提示に用 いられる。ただし、投資感度が高い製品は新規の投資ができないということで はなく、企業は投資を検討する際に十分な科学的論証を行い、川上、川下の 需給バランス、市場競争の状況、環境保護の規制、国際貿易の動向、市場 参入障壁、技術開発の余地などを総合的に考慮し、設備、製品、デザイン、 産業チェーンを合理的なものにすべしと提言している。
 投資感度は、主要な化学繊維製品、すなわちポリエステル(PTA、紡織用 長繊維、工業用長繊維、短繊維)、ナイロン(CPL、6、66 長繊維ほか)、レー ヨン、スパンデックス、リサイクル繊維、高性能繊維(炭素繊維、アラミドほか)、 バイオ繊維(リヨセル、竹繊維ほか)など約 40製品について、以下の 4 つのレ ベル、12 条件について分析され、符合する条件が多い場合は、投資感度は より高いとされ、符合する条件が低い場合は、投資感度はより低いとされる。
 各製品のそれぞれの評価については、中国化繊工業協会の HPでも公表さ れている。
(1)市場レベル
 ①既に段階的過剰状況であるが、短期的に過剰となる可能性がある。
 ②通常のコモディティ製品である。
 ③需要規模が小さく、短期的に生産能力が急速に増加、市場のバランスが 崩れる可能性がある。
 ④代替製品、競争製品が存在する。
 ⑤国際貿易環境の影響を大きく受ける。
(2)環境保護レベル
 ⑥環境保護要求、エネルギー消費が環境保護政策により影響をうける。
(3)技術レベル
 ⑦原料のボトルネックが存在する。
 ⑧市場障壁が存在し、参入の難易度が高い。
 ⑨技術障壁が存在し、技術設備が独占されている。
 ⑩産業が雛形(草創)期にあり、技術進歩の余地が大きい。
 ⑪国防軍需工業、航空宇宙用繊維。
(4)資金レベル
 ⑫資金障壁が存在、資産集約型重資産(不動産、原材料、設備など有形、 固定資産)の業界