日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 2020年1月以降の繊維業界の状況

2020年05月29日
日本化学繊維協会

繊維景況

2020年1月以降の繊維業界の状況

 中国紡織網によると、2020年1月以降、新型コロナウイルスが蔓延してからの中国の繊維業界の業況は以下の通り。
①生産規模は縮小へ
 繊維業界の稼働率は、中国国内のコロナウイルス蔓延が落ち着いてからは回復に向かっているものの、現時点では、通常レベルまでには回復していない。2020年第1四半期の紡織産業と化繊産業の稼働率は、それぞれ67.2%、74.4%であり、前年同期と比べ、それぞれ10.5ポイント、8.8ポイントと大きく下がった。
2020年第1四半期の規模以上の繊維企業の工業増加値(GDPに相当)は前年同期比16.5%減の大幅減となった。繊維産業チェーンの中では、産業用繊維製品のみメディカル、衛材用の需要が急拡大したため、同11.5%の高い伸びとなったが、その他の業界はマイナス成長であった。綿紡織は同21.7%減、アパレル製造は同19.7%減、化学繊維は同6.9%減であった。
 第1四半期の主要製品の生産量は、不織布を除く15種類はいずれもマイナス成長であった。第1四半期の紡績糸、織物、化繊、アパレルの生産量はそれぞれ前年同期比26.4%減、同31.1%減、同10.0%減、同20.3%減であった。
②国内需要は縮小
 中国国内のコロナウイルスの蔓延によって、繊維製品、アパレル製品の中国国内販売は減少した。2020年第1四半期の1人当たりの平均衣類支出は前年同期比17.8%減の369元と。同期間の限度額以上のアパレル・履き物・帽子、ニット繊維製品の小売額は前年同期比32.2%減となった。同期間のインターネットによる衣類等の商品小売額は前年同期比15.1%減となった。
③繊維品輸出は下落
 2020年第1四半期の繊維品輸出の前年同期比減少率は2008年の世界金融危機の減少率を超えるものとなった。しかし、4月に入り、各国からのマスク、防護服などの需要が急増したことにより、輸出の減少幅は急速に縮小した。1~4月の繊維品輸出額は前年同期比10.0%減の666.2億㌦、その減少率は1~3月に比べ約8ポイント改善した。そのうち、紡織品輸出は同2.9%増の373.1億㌦、特に4月の輸出額は前年同月比51.1%増の高い伸びであった。一方、アパレル輸出額は同22.3%減の293.1億㌦であった。
④投資が大幅に委縮
 2020 年に入ると、繊維企業は投資への意欲を失い、投資規模は大幅に委縮した。2020 年1~3 月、繊維産業の固定資産投資完成額は前年同期比38.0%減となり、前年同期の同6.5%増から44.5 ポイントの大幅減となった。そのうち、紡織業、アパレル業、化繊業の1~3 月の投資額はそれぞれ37.1%減、45.8%減、19.2%減であった。そうした中で、メディカル・衛材への投資拡大、海外販売から国内販売への転換が業界の投資の重要な方向性となっている。
⑤経済収益が悪化
 需要減退から生産・販売が減少する中、繊維企業の売上、利益は大幅に縮小している。2020 年1~3 月、規模以上の繊維企業3.3 万社の売上高は前年同期比25.4%減の8,318.8 億元であった。利益総額は同44.2%減の218.1 億元となった。売上高利益率は2.6%にとどまった。そのうち、化繊業界は、原油価格の暴落、在庫増の影響を受け、利益総額は同62.3%減であった。1~3 月の繊維企業全体のうち、赤字企業の割合は36.4%と前年同期比13 ポイント増となった。