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2014年7月1日に統合しました

(英国) BPがPX、PTA事業をINEOSに売却へ

2020年07月10日
日本化学繊維協会

合繊原料

BPがPX、PTA事業をINEOSに売却へ

 6月29日、英石油化学大手のBPは、同社のパラキシレン(PX)、PTA、酢酸を含む石油化学事業を、欧州石化大手のINEOSに売却することで合意したと発表した。2020年内の取引完了を目指す。売却額は総額50億㌦。
 INEOSは、子会社のIneos Styrolutionを通してこれらBPの資産を買い取る方針であり、2020年末に予想される取引完了後までに40億㌦を支払い、残りは分割払いで2021年6月末に支払うという。
 同事業の従業員1,700名は売却完了後にINEOSに移管される。
 INEOS は、BPの石化事業の買収について、自社の事業拡大と既存事業の強化に繋がると考えており、同社のJim Ratcliffe会長は、「今回の買収は、現在の石油化学事業を発展させることができ、世界のポリエステル産業の強化に繋がると述べている。PXは、PTAの主原料であり、生産工程では触媒として酢酸を大量に使用する。BPが保有するこれらの事業は、技術力が高く堅調な成長が見込まれているほか、川下のポリエステル市場は、2009年の金融危機時を除き、着実な成長を続けるとしている。
 今回の買収対象となるPX、PTA事業は以下の通り。PTA事業に関してはBPの技術とライセンスもINEOS に移転される。
 PTA事業:米国Cooper River, SC(年産140万㌧)、ベルギーGeel(同140万㌧)、中国珠海(同295万㌧:BP持分91.9%)、インドネシアMerak(同50万㌧)、台湾台中(同70万㌧:BP持分61.4%)
 PX事業:米Texas City(年産90万㌧)、ベルギーGeel(同70万㌧)
 そのうち、ベルギーGeel工場は欧州最大のPTA工場。INEOS のPTA設備能力はIndorama Ventures Limited (IVL)に次ぐ欧州第2位となる。
 BPは、2020年4~6月期の決算で175億㌦の損失を計上する見通しと発表しており、新型コロナウイルス蔓延により石油など化石燃料の需要が今後長期で低迷するとの予想から、構造転換を進める方針を示していた。
 BPは、今回の事業売却について事業集約を通じ、BPの成功への追加の一歩と述べている。