日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(フランス) Fashion Pact、7つの新目標を策定

2020年10月30日
日本化学繊維協会

環境

Fashion Pact、7つの新目標を策定

 2019年のフランス・ビアリッツで開催されたG7サミットでは、フランスのEmmanuel Macron大統領が、大手ブランドKeringに託し、地球温暖化防止、生物多様性、海洋保護に焦点をあてた「Fashion Pact(ファッション協定)」は、このほど発足から約1年が経過した。
 この1年間でFashion Pactへの参加企業は、当初の32社から、現在では14ヵ国60社を超えるまでに約倍増となり、参加ブランド数は200以上、ファッション産業全体のシェアの3分の1を占める勢いとなった。主な参加企業・ブランドはKering、Chanel、Hermès、Burberry、Nike、Adidas、Nordstrom、Ferragamo、Puma、PVH Corp、GAP、Bally、Ralph Lauren、Capri Holdings、Tapestry、Zegna、Giorgio Armani、Inditex、H&M、利豊、山東如意などである。
Fashion Pactは、従来の「気候変動」、「生物多様性」、「海洋自然保護」の3つに重点的な取組みの中で、今後戦略的に取り組むべき7つの目標を下記の通り設定した。

気候変動
1)国連ファッション憲章の原則を実行する。参加企業は、気候変動についての活動を「Science Based Targets(SBTs)」で表し、2050年までに「net-zero carbon(カーボンニュートラル)」の達成を目指す。
2)2025年までに調達材料による炭素の排出を25%削減する低負荷資材調達を達成する。
3)2025年までに再生エネルギーの使用50%まで、2030年までに100まで引き上げる

生物多様性
1)2020年末までにそれぞれの企業が目標とする、「多様な生物に支えられた環境」を実現することについての青写真を個別に作成する。
2)主要な生物種の保護や、重要な自然生態系の保護と再生に力を入れ2025年までに森林破壊をゼロにし、持続可能な森林の管理を支援する。

海洋保護
1)包装材に使われている有害なプラスチックの削減に力を入れる。これらのプラスチック包装材をB2C(一般消費者向け製品)分野で2025年、B2B(企業向け製品)分野では2030年までに廃止する。
2)B2C分野では、2025年までにプラスチック包装材の半分以上を完全にリサイクル可能なものに変更、B2B分野も同様の取り組みを2030年までに実施する。

 Keringは、今回の目標の発表の声明文の中で「Fashion Pactの活動はまだ緒に就いたばかりである。現在は、参加各社と協力しながら活動を進めているが、これらの成果や生物多様性に対するパートナーシップ、そして専門家による技術的な専門知識について、同協定が目に見えるインパクトを与えることが重要。」と述べ、目標達成には、イノベーションと成功事例が必要であるとしている。Keringによると、参加企業の60%が小売バッグのプラスチック包装を廃止しているが、ハンガーやB2B輸送では依然として多くの課題があり、プラスチック包装を廃止した企業は15%に過ぎない。こうした進捗状況のギャップは、集団行動によって革新的なイノベーションを拡大し、埋めることができるとしている。