日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 恒力、PBSプロジェクトが生産開始

2021年01月08日
日本化学繊維協会

研究開発

恒力、PBSプロジェクトが生産開始

 2020年12月25日、大手ポリエステルメーカー恒力石化の子会社である営口康輝石化有限公司(康輝石化)は、年産3.3万㌧のポリエステル系生分解樹脂であるポリブチレンサクシネート(PBS)新材料プロジェクトについて、無事に生産を開始したことを明らかにした。恒力石化の稼働開始によって、中国国内のPBSの需給ギャップが大幅に緩和され、また、康輝石化の年間売上は6~7億元増加する見込みである。
 2020年7月、中国国家発展改革委員会、生態環境部など9部門が共同で発出した「プラスチック汚染対策の着実な推進に関する通知」に基づき、2021年1月1日からプラスチック制限令が全面的に実施されることとなり、その結果、固形廃棄物の輸入が全面禁止となる。中国商務部は2020年11月30日、ビジネス分野における使い捨てプラスチック製品の使用・回収に関する報告を発表した。今後、プラスチックに対する制限が進むにつれ、生分解性プラスチック製品の需要は大きく増加するとみられている。
 恒力石化は、民営トップ企業としてこの国策に対応し、子会社の康輝石化は2019年8月、大連理工と協力し、生分解性ポリエステル新材料PBSの生産方法を自主的に研究開発し、2020年年初に、年産3.3万㌧のプロジェクトの建設を開始した。
 中国の大手証券会社である国信証券によると、中国国内の使い捨て食器、ビニール袋、農業用フィルム、包装用プラスチックの4重点分野の需要は潜在的に約1,000万㌧に上るとの見通しに対して、2018年の中国の生分解性プラスチックの供給量は約7万㌧である。プラスチック制限令の執行、中国国民の環境保護意識の向上、技術の進歩、中国政府の補助金によるコスト低下などに伴い、今後、中国において生分解プラスチックの普及率は急速に向上すると見込まれている。