日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(米国) 米国大手テキスタイルメーカー、サステナビリティレポートを発表

2021年04月30日
日本化学繊維協会

環境

米国大手テキスタイルメーカー、サステナビリティレポートを発表

米国の大手テキスタイルメーカーが、相次いでサステナビリティレポートを発表した。 

●Milliken & Company
米国の大手テキスタイルメーカーMilliken & Companyが、この度、 「第3回年次サステナビリティ報告書」を公開した。同報告書は、「Together for Tomorrow」とのタイトルで、同社のサステナビリティに関する取り組みの視点で業績が分析されている。同社は2018年に、2025年までに達成するサステナビリティに関する取り組みの目標を掲げ、地球、製品、人々を対象とし、現在その目標に向けて取り組みを続けているが、同報告書ではその進捗状況がまとめられている。
同社のPresident兼CEOであるHalsey Cook氏は、「2020年から重大な局面に直面している」とし、「製品ラインの変更や新たな革新により、12件の戦略的カテゴリーのうち10件で、我が社のサステナビリティ指標を見直した。我が社のサステナビリティ・イニシアチブは順調に進んでおり、我々の事業を根本的に変えている」とコメントした。
同社の目標のうち、大きな前進が見られた項目は、下記の通り。
・多様性、公平性、包括性を推進するとのコミットメントに基づき、継続的な取り組みをさらに強化する。
・医療用ガウンやフェイスシールドなど、新型コロナウイルス対策に貢献する開発や製造に注力する。
・新型コロナウイルスの感染が拡大する中、エッセンシャルワーカーの安全を特に優先する。安全第一の企業文化を強化する。
・プラスチックの循環に関する議論を強化する。そのために、National Geographic Creative Worksの主催によりソートリーダーを集め、実行可能なエコシステムのソリューションの明確化を目指す。
・主要な燃料源である石炭が使用されなくなることで、温室効果ガスと廃棄物が削減されるよう、資本投資を継続する。
・Borchersを買収する。溶剤や環境影響を低減し、塗料添加剤プラットフォームを拡大する。
・ミリケン・リーダーシップ・モデルを発足する。目的意識をもったリーダーシップを高めるため、社員を教育する。
●Glen Raven Inc.
大手テキスタイルメーカーGlen Raven Inc.は、同社で初となるサステナビリティレポート「Continuing a Pattern of Good」を発表した。「人々とコミュニティをサポートする」と「地球を維持する」の2つの柱からなるもので、以下の内容が含まれている。
・アソシエイト:2025年までに毎年リーダーシップの多様性を20%、管理職の女性を25%増加、全世界でリスクゼロの行動を目標に安全性の向上を図る
・地域社会:幼児教育を中心としたボランティア活動への参加率を100%にする。
・環境への影響:2025年までに自然エネルギー電力を100%使用、2030年までにスコープ1/2の排出をカーボンニュートラルにする。
・循環経済:リサイクル原料の使用を2025年までに5倍にする。2025年までに顧客が同社の製品をリサイクルできるよう支援する。2022年までに全事業所でゼロエミッションを達成する。
●Elevate Textiles
大手テキスタイル企業グループElevate Textilesは、2021年版のサステナビリティレポートを発表した。同報告書では、Elevate Textiles、傘下のAmerican&Efird (A&E)、Burlington、Cone Denim、Gütermann、Safety Componentsなどのサステナビリティの目標と、これまでの進捗報告が述べられている。同報告書では、各項目が国連の持続可能な開発目標 (SDG) の公約に沿って構成されており、特に、2025年までの目標である持続可能な方法で調達された繊維、水消費量の削減、温室効果ガス排出量の削減などに焦点を当て解説しているほか、国連グローバル・コンパクトの10原則との連携についても説明されている。
2021年版の報告書の主な成果は、以下の通り。
・「スコープ1」、「スコープ2」 の温室効果ガス排出量削減に向けた継続的な取り組み(2.5%/年)。
・2016年以降、世界の水使用量を7.5%削減。
・新しい排水技術の導入により、水のリサイクル率を2016年より65%向上。
・2025年までに持続可能なコットンの調達率を68%の目標に対し、80%を達成。
・Sustainable Apparel Coalition(SAC)に参加し、Higg Indexを支援するためのリソースを提供。
・ZDHCに参加、国連気候行動のためのファッション産業憲章への参加。