日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 大手ポリエステルメーカーの利益大幅増

2021年07月30日
日本化学繊維協会

業績

大手ポリエステルメーカーの利益大幅増

 主要上場ポリエステルメーカーの2021年上半期の業績予想が7月15日までに出そろった。恒力石化、栄盛石化、桐昆集団、新鳳鳴集団、東方盛虹の5社は、いずれの企業も前年同期と比べ利益が大きく増加する見込みであり、特に東方盛虹の利益の増加率は大きかった。
 桐昆集団、新鳳鳴集団、東方盛虹は前年の新型コロナウイルスの影響を受け、主力製品の利益は大幅減となった反動から上半期の純利益は前年同期比で大きく増加した。一方で恒力石化、栄盛石化は、前年同期は産業チェーン全体の優位性により、コロナ禍でも業績が比較的良好であったため、今年上半期の利益は増加したとはいえ、増加幅は上述3社に比べ小さいものとなった。

主要ポリエステルメーカーの利益見通し

主要企業の利益増の要因等は以下の通り。
①恒力石化:石油価格上昇の後押し、内外需要の回復、供給のひっ迫などにより、化学製品の価格は上昇した。同社の年産2,000万㌧の石油精製化学工業プラント、同150万㌧のエチレンプラント及び関連石炭化学工業プランントはフル稼働による安定操業を実現、石油精製化学工業+石炭化学工業のシナジー効果が大きく現れたことで2021年上半期の収益力は大幅に増加した。川下の消費は引続き回復、業界の景気指数は着実に上昇し、紡織用糸、工業用糸などの収益力は次第に回復し、特にポリエステルフィルムと生分解可能プラスチックなどの需要は旺盛であり、供給がひっ迫した。こうした品種は原料と製品の高い価格差を維持した。
②栄盛石化:2021年上半期に子会社浙江石油化工の「年産4,000万㌧石油精製化学工業一体化プロジェクト」が操業を開始した。その後、各種プラントの生産は順調で、稼働率は着実に上昇、高い収益効果となった。一方、同社の製品の一部の原料と製品の価格差レベルが大きく広がり収益に貢献した。
③桐昆集団:2021年上半期、同社のポリエステル長繊維糸業界での集中度は高まる一方、川下需要は引続き回復した。同社は差別化、機能性などの付加価値の高い繊維製品の生産能力を拡大した。同社が株式参加する浙江石油化工の年産4,000万㌧の石油精製化学工業一体化プロジェクトの稼働開始による収益効果も大きかった。
④新鳳鳴集団:2021年上半期のポリエステル長繊維業界の集中度は引き続き高まり、川下需要は安定成長を維持したことで収益は前年度同期と比べ大幅増となった。
⑤東方盛虹:同社の業績は、前年同期には新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。2021年上半期は、化繊・石化業界の川下需要は大きく改善され、原油価格が上昇したことで、業界の景気は回復した。同期間、同社の生産・経営は一層改善され、良好な収益力を保持し、2020年下半期に稼働を開始した港虹繊維の年産20万㌧の差別化・機能性繊維プロジェクト、中魲科技の年産6万㌧のリサイクルPETプロジェクトの稼働が利益増へ貢献した。