日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 2021年1~9月の繊維業界の業況

2021年11月19日
日本化学繊維協会

繊維景況

2021年1~9月の繊維業界の業況

 中国紡織網によると、2021年1~9月の繊維産業の業況は総じて、拡大基調を維持しており、企業の収益は改善、投資も回復、主要指標は前年同期の低い基数と比べ安定上昇となった。
 繊維需要は、2021年に入ると、中国国内の新型コロナウイルスの状況が全体的に落ち着き、内外市場で回復に向かった。そのため、繊維業界の景気も拡張期間に入り、稼働率は全体的に高値で安定した。
 中国紡織工業連合会(CNTAC)によると、2021年第3四半期、繊維業界の景気指数は58.7で、6四半期連続で50の分岐点(好景気と不景気の分岐点)を上回り、景気度は高い水準にある。
 国家統計局によると、1~9月の紡織産業と化繊産業の生産能力利用率(稼働率)は、それぞれ79.6%、85.2%、ともに工業全体(77.6%)を上回る水準で、前年同期比、それぞれ7.2ポイント、6.1ポイント高かった。
 2021年1~9月の繊維産業の工業増加値の伸びは前年同期比6.3%と、前年同期のマイナス成長から大きく改善した。2019年1~9月との比較では0.7%増となり、繊維業界は既に新型コロナウイルス前のレベルをやや超える水準まで回復している。同期間の紡織、化繊、アパレルの工業増加値の伸びはそれぞれ3.7%、10.7%、9.2%であった。
 2021年1~9月の限度額以上のアパレル、靴、帽子、紡織品類の商品小売総額は、前年同期比20.6%の大幅増となった。前年同期に比べ33ポイント上昇、2年前に比べ2.8%増であった。オンライン消費が内需を牽引しており、同期間のインターネット衣類商品小売額は前年同期比15.6%増となった。
 2021年1~9月の繊維品輸出総額は前年同期比5.6%増の2,275.9億㌦となった。アパレル輸出が回復しており、同期間のアパレル輸出は同25.3%増の1,224.1億㌦となった。この伸びは2010年以降で最大の伸びとなった。一方で、1~9月のマスク及び防護服輸出は前年の大幅増の反動で同79.4%減となった。この影響から、紡織品輸出は同10.7%減の1,051.8億㌦となった。
 2021年1~9月の繊維企業の累計売上高は前年同期比15.6%増の3兆6721億元、利益額は同31.7%増の1,710.5億元であった。繊維産業チェーンの9割を超える分野では利益増となり、7割を超える分野では利益増加率が30%以上となった。特に化繊業界の利益額は、製品価格の上昇もあり、前年同期比318%の大幅増となった。
 2021年1~9月の紡織業、化繊業、アパレル業の固定資産投資完成額はそれぞれ前年同期比13.5%増、29.5%増、3.1%増であった。そのうち紡織業、化繊業の投資額、投資規模は新型コロナウイルス前の水準にまで回復している。
 2021年第4四半期に入り、原料価格の大幅上昇、一部地域の電力制限、それによる生産制限、輸送価格の高騰といった影響から、繊維産業の生産・経営への圧力は大きくなっているが、クリスマス向け輸出、「双十一(11月11日の独身の日の販促)」、正月などの消費シーズンの到来もあり、繊維業界は年間を通して安定した発展が実現すると期待される。