日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 2021年1~9月の化繊業界の業況

2021年11月30日
日本化学繊維協会

繊維業況

2021年1~9月の化繊業界の業況

 2021年1~9月の化繊業界の業況は、内需は安定、輸出も増加するなどのプラス要因があったが、「能耗双控(エネルギー消費の総量削減政策)」が実施されたこと、原油価格上昇による企業のコスト増などのマイナス要因も一定程度の影響を与えた。
 1~9月の化繊業界の稼働率は全体として高水準を維持したが、9月に入り、「能耗双控」に基づく電力制限の影響を受け、急速に下落した。ポリエステル長繊維では、9月初めの稼働率は85%であったが9月末には75%に下落、10月は小幅に上昇したが平均約77%と2021年に入り最低水準であった。
 国家統計局によると、1~9月の化繊生産量は前年同期比13.54%増の5,037万㌧、2019年の同期を基準にすると6.75%増であった。
 原油価格の高騰の影響から、化繊の価格は上昇したが、その上昇幅は原料価格に及ばない状況であった。ポリエステルでみると、9月末は年初と比べ、PTA、MEG価格の上昇幅はそれぞれ36%、43%であったが、ポリエステルPOYとポリエステル短繊維の価格上昇幅はそれぞれ30%と24%であった。
 1~9月の化繊主要品種輸出は前年同期比21.49%増の354.84万㌧となった、全体的にみると、化繊輸出は成長を維持、輸出規模は新型コロナウイルス以前の水準を超えている。
 1~9月の化繊業界の売上高は前年同期比33.28%増の7,441.83億元、利益額は同317.99%増の471.38億元であった。業界の赤字企業の割合は20.56%で、前年同期より18.36ポイント縮小、2019年同期と比べても3.86ポイント縮小した。化繊業界の収益水準は、繊維業界全体のトップにあり、特にポリエステルとスパンデックス業界が利益総額の40%と23%に貢献した。
 2021年間を展望すると、化繊業界の業況は多くの試練に直面している。世界経済が回復する中、原油需要は強含みである一方、OPECは増産に対して慎重であるなど原油価格が不透明さを増している。10月になると各地の電力制限は緩められ、川下の織布分野の稼働率は上昇に転じ、化繊業界の稼働率も回復している。しかし、一定程度の新規生産能力の稼働開始が予定されている。総合的にみると、第4四半期、化繊業界の稼働率は上昇すると見込まれ、化繊価格は高水準を保持する見通し。年間の化繊生産量は1~9月の伸びからは鈍化する見通し。売上、利益等の指標は前年より好転するとみられる。