日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(欧州) マイクロプラスチック対策に向けたロードマップ公表

2021年12月10日
日本化学繊維協会

環境

マイクロプラスチック対策に向けたロードマップ公表

 11月30日、欧州委員会は、タイヤ、繊維、プラスチック等からの意図しないマイクロプラスチック放出の環境影響に関する規制を実施するためのCall for Evidence(根拠に基づく情報提供の照会)を開始した。
 この動きは、欧州委員会が先に公表した欧州グリーンディール、サーキュラーエコノミー行動計画、欧州プラスチック戦略に基づき、マイクロプラスチックの環境影響の低減措置を検討する方針に基づくもの。欧州委員会は全体のスケジュールとして、今年12月28日までCall for Evidenceを実施後、2022年第1四半期にパブコメを実施、2022年第4四半期に関連規制措置への提言を受諾する予定で作業を進める方針。パブコメでは、①合成繊維の全ライフサイクルにおけるマイクロプラスチックの放出、②タイヤ摩耗によるマイクロプラスチック放出、③プラスチックペレットのライフサイクル全体でのマイクロプラスチック放出の3点に焦点を当てる。
 マイクロプラスチックの環境影響低減の措置検討の目的は、環境、水道水、食品中のマイクロプラスチックの発生とリスクの科学的証明を行うことや、競争力と革新を奨励することであり、環境汚染と健康影響の低減を目指している。これらを達成するため、マイクロプラスチックの発生源とされる製品のラベル/表示の義務、標準化、規制措置などに焦点を当て実施する方針。
 欧州委員会のHPで公開されているCall for Evidenceの参考文書には、①政治的背景および問題の定義、②目的およびポリシーオプション、③影響の可能性、④規制手段について記載されている。②のポリシーオプションに関する繊維分野の記述では、合成繊維の全ライフサイクルにおけるマイクロプラスチックの放出削減への対処が、発生源のみで不可能または十分でない場合には、拡大生産者スキーム(EPR)と組み合わせた対策を検討しているほか、以下のような措置が含まれる可能性があるとしている。
・生分解性糸などの新素材の使用を含むエコデザイン要件
・衣料品の販売前洗浄などの製造プロセスの改善
・製品が廃棄される前に生産者へ介入責任を持たせるための規則(使用済み繊維製品の回収計画など)
・リサイクルまたは再資源化促進
・洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機へのフィルター設置義務化の適用またはその他の技術的ソリューションの適用
・下水処理場でのマイクロプラスチックの適切な処理技術
・サステナビリティまたは最低限の情報要件を設定し、それに応じた製品へのラベリング
・産業界による自主的取組の促進