日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(中国) 新鳳鳴、ポリエステル短繊維市場に参入へ

2021年12月20日
日本化学繊維協会

化繊設備

新鳳鳴、ポリエステル短繊維市場に参入へ

 11月26日、大手ポリエステルメーカーの新鳳鳴集団の100%子会社の中磊化繊は、自社の公告において、年産60万㌧機能性ポリエステル短繊維プロジェクトの第1期(年産30万㌧)が正式に稼働を開始したことを明らかにした。
 このプロジェクトは、中国昆侖工程の最先端の溶融直紡技術プロセスが導入され、紡糸部分では、全自動包装機とインテリジェント倉庫保管システム等が採用、その製品は、顧客のカスタマイズされたニーズに照らし、高級・高強度・コットンライク、スパンレース、三次元中空などの多くのシリーズ製品を提供することが可能であるという。
 新鳳鳴集団は、同プロジェクトの稼働開始について、「同社がこれまで注力してきたポリエステル長繊維から水平方向への拡張を実現したことを意味する。ポリエステル短繊維工場の稼働開始により、製品構成が豊かになり、産業チェーンの補強を実現、同社の第14次五ヵ年計画におけるPTA~ポリエステル産業チェーン戦略に向けた重要な一歩となり、企業のコア競争力と業界影響力を高めた。」と述べている。
 ここ2年、主要ポリエステルメーカーのポリエステル短繊維の生産能力の拡大がみられる。例えば、恒逸石化は、2020年末時点で、宿遷逸達新材料、福建逸錦化繊など含め同社のポリエステル短繊維総の生産能力は年産88万㌧に達している。
 2021年6月末の中国のポリエステル短繊維の生産能力は年産約844万㌧。そのうち、江蘇省が55%を占め、江蘇省では、儀征化繊、三房巷などトップメーカーが存在する。
 業界関係者によると、ポリエステル短繊維市況は、2021年9月以降、全体としては、「双控(エネルギー消費の総量と強度を共に削減すること)」、「限電(電力使用制限)」政策の影響を受け供給は減少、同時に、原油およびPTA、EGなどの合繊原料価格が上昇した。しかし、その後、生産回復により、市況は低迷、短期的に需給が改善するのは難しい状況にある。22年第1四半期には新たに30万㌧のプラントの稼働開始が計画されており、市況の先行きは楽観できない。さらに、2022~23年、中国のポリエステル短繊維業界の生産能力は高速拡大期に入り、特に新鳳鳴のような大型ポリエステルトップメーカーの参入により、業界の競争も更に激しくなり、一部の老朽生産能力の淘汰が進むとの見通しが示されている。