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(欧州) EURATEX、2021年の繊維貿易動向を発表

2022年05月20日
日本化学繊維協会

繊維景況

EURATEX、2021年の繊維貿易動向を発表

 このほど、欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、2021年のEUの繊維品貿易統計をまとめたレポートを発表した。
 このレポートによると、新型コロナウイルスの大きな影響がみられた2020年と比較すると、2021年の繊維品輸出額(ユーロベース)は前年比10.6%の増加となった一方で、繊維品輸入は同7.5%の減少となった。その結果、貿易赤字は前年に比べ大幅に改善した(赤字額は前年の620億ユーロから480億ユーロ)。また、中国からのマスク、防護用医薬品の輸入が、特に単価の大幅な下落が影響した。
 繊維品輸出が増加した要因は、主にスイス、中国、米国市場向けが好調であったため。一方、英国向けの輸出はBrexit(英国のEU離脱)に伴い、新たな税関手続きやトラック運転手不足などもあり前年比23%の大幅減となった。繊維品輸入は主要供給国である中国からの輸入が、PPE輸入の急落で前年比28%の大幅減となった。また、英国からの輸入も同48%の大幅減となった。
 EURATEXのDirk Vantyghem事務総長は、「2021年の欧州の繊維品輸出は、EURATEXの会員の回復を裏付けている。エネルギー価格の上昇が短期的に深刻な混乱を引き起こしているが、長期的には持続可能な繊維製品の世界的リーダーであり続ける。」と述べている。
 また、EURATEXは、国際貿易の側面は、2022年3月に欧州委員会が発表した「EUの持続可能な循環型繊維戦略」に完全に組み込まれる必要があると主張している。欧州委員会は、「EU市場で流通する全ての繊維製品は、耐久性があり、有害物質を含まず、社会基準を尊重して生産されるべき・・・」としているが、これは生産拠点にかかわらず、あらゆる繊維企業が対等な競争条件になるための必須条件であるとして、1,000億ユーロ相当の輸入繊維製品についても、そのサプライチェーンを壊すことなく、市場監視の拡大が必要であると主張している。