日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(EU) EURATEX、ReHubsの方針を発表

2022年06月30日
日本化学繊維協会

環境

EURATEX、ReHubsの方針を発表

 このほど、欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、2020年に開始した廃棄繊維製品をアップサイクルしビジネスに変えるプロジェクトであるReHubs(European Textile Recycling Hubs)のこれまでの進捗状況と今後の方針を明らかにした。
 EURATEXによると、ReHubsの取組みにおいては、2022年6月、2030年までに250万㌧の廃棄繊維製品の繊維to繊維リサイクルを達成する目標のための調査(TES:ReHubs Techno Economic Master Study)が完了した。TESでは、原料(繊維製品の廃棄物)データ、リサイクル技術、組織・財政上の必要性などの情報収集が行われた。
 TESによると、欧州の繊維のリサイクル産業は2030年までに約1.5万人の直接雇用、35~45億€の経済的、社会的、環境的利益を生み出す可能性があるという。
 EURATEXはReHubsの実行に当たり、3つのステークホルダー・グループを設定、事業を進めている。すなわち、①ビジネス協議会(先駆的企業から構成)、②ステークホルダーフォーラム(企業、研究・学術関係者の幅広い層が参加)、③ReHubs Task Force(14の国・協会が協力し、ReHubsの進捗状況をレビュー、産業政策等での連携強化)である。
 EURATEXでは、上記における活動をもとに、現状認識と今後の活動(次のステップ)として、以下を示している。
現状認識
・欧州では、年間約750万㌧の廃棄繊維製品が発生するが、回収されているのは30~35%にすぎない。
・「EU廃棄物規制」において、今後2年半以内にEU加盟国は使用済み繊維製品の分別回収が義務付けられることになる。一部の国では既にそのスキームが出来上がっている。
・廃棄繊維製品の85%は一般家庭から発生、廃棄繊維製品の約99%はバージン原料が使用されている。
・繊維to繊維リサイクル率を2030年までに18~26%に引上げるためには60~70億€の設備投資が必要であり、特に十分な分別技術・処理インフラを整備する必要がある。
ReHubsの次のステップ
・2030年までに繊維to繊維リサイクル250万㌧達成のための「欧州繊維リサイクル・ロードマップ」の策定
・欧州における広範な繊維リサイクル・バリューチェーンでのコラボレーション・ハブの設立
・具体的な4つの実証プロジェクトのポートフォリオ作成
・廃棄繊維製品の原料化への取組み強化
・繊維バリューチェーンにおけるリサイクル繊維の採用拡大
・ケミカルリサイクルの技術的課題の解決とその能力拡大
・リサイクル繊維製品のカプセルコレクション(小規模な限定コレクション)
 EURATEXによると、ReHubsにおける最初のプロジェクト:「廃棄物の原料化」“Transform Waste into Feedstock”では、循環型リサイクルのため必要な精度での素材分別技術に限界がある中、さらなる分別技術の開発に取り組んでいる。このプロジェクトでは2024年末までに最初の5万㌧のリサイクル工場の建設を目指している。