日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

第703 回 本委員会の主要議題と概要

2022年07月01日
日本化学繊維協会

日本化学繊維協会(会長 内川 哲茂 帝人株式会社 代表取締役社長執行役員CEO)では、本日11時より第703回 本委員会を開催しました。
主要議題およびその概要は以下の通りです。

1. 正副会長の交代
2021年度の竹内 会長、上埜 副会長が退任し、2022年度会長に内川 哲茂 帝人株式会社 代表取締役社長執行役員CEO、副会長に川原 仁 株式会社クラレ 代表取締役社長、瀧本 丈平 三菱ケミカルグループ株式会社 執行役エグゼクティブバイスプレジデント、専任副会長に富𠮷 賢一 理事長が選任されました。
任期は2023年6月30日までの1年間です。

2. 日本化学繊維協会の品質保証ガイドラインの見直し
日本化学繊維協会は、ユーザーの皆様に安心して、加盟各社の化学繊維を使用していただけるよう、品質保証に関してのガイドラインの見直しを行いました。協会加盟会員各社は、ガイドラインに沿って、品質保証に取り組んでまいります。

3. 日本化学繊維協会のサステナビリティ推進について
日本化学繊維協会は、2021年7月に「日本化学繊維協会のサステナビリティ対応方針」を取り纏め、公表しました。この方針に掲げた、「資源循環」や「環境負荷低減」について、サステナブル推進委員会をはじめ、協会内の各委員会が具体的な取り組みを進めており、その概要について報告がありました。
取り組み例として、「資源循環」の関係では、①PETボトルなどの再生原料を繊維化するリサイクルの拡大に向けた検討や、②繊維to繊維リサイクルの実現に向けた検討の他、③バイオベース原料やリサイクル原料を使用した繊維について、それら原料の混率表示を規定するJIS規格の開発を開始しました。
「環境負荷低減」の関係では、引き続き、④マイクロプラスチック問題への対応を進めております。洗濯時に発生する繊維屑測定方法のISO国際標準化は順調に進んでおり、当初の計画通り、来年6月の制定を目指しております。
この他、⑤化繊産業のカーボンニュートラルに向けた調査検討や、⑥化学物質管理問題の対応を、今年度から化繊協会のサステナビリティ関連の重要課題に追加し、持続可能な化繊産業を目指して、引き続き、取り組むこととしております。

4. 中国の高機能・高性能繊維等調査
2021年度の調査事業として、中国の繊維業界の最近のトピック(中国の高性能繊維動向、リサイクルポリエステル繊維の動向、バイオ由来ポリマーや繊維の開発動向、2030カーボンピーク、2060年カーボンニュートラルへの繊維/化繊業界の対応等)について、調査を実施、その概要を取りまとめ、報告がありました。

5. 2021年度「化学繊維ミル消費量の調査」結果
2021年度「化学繊維ミル消費量調査」結果について、以下の通り、報告がありました。
2021年度の化学繊維ミル消費は、前年度比3.4%増の81.8万㌧、3年ぶりの増加となりました。国産品は0.2%増の38.1万㌧、輸入品は6.4%増の43.7万㌧、国産品、輸入品とも増加しました。 輸入品比率は、前年度比1ポイント上昇の53%となりました。
用途別には、衣料用、家庭・インテリア用、産業資材用の割合は、17:51:32となり、前年度に比べ、衣料用は2ポイント、産業用は2ポイント上昇した一方、家・イ用は4ポイント下落しました。

6. 2021年の世界の繊維品貿易動向
2021年の世界の繊維品貿易について、以下の通り、報告がありました。
2021年の世界の繊維品貿易は、前年比13%増の約8,800億㌦と過去2年の落ち込みから回復、過去最高水準となりました。
欧米を中心に経済再開の動きが進み、衣料用中心に需要が急回復したことで、アジア各国の輸出が増加したほか、綿花、原油等の価格高騰の影響もありました。

7. 2022年度 日本化学繊維協会活動

以上

 

2022年度 日本化学繊維協会活動について

1. 環境認識と基本方針
 日本化学繊維協会は、2021年に策定した「中期活動方針2025」において、1)サステナビリティの推進、2)競争力の基盤維持・強化、3)情報発信の拡充の3点を活動の方向性として設定し、それに則って、活動を行っている。
 2021年度は、アジア化繊産業会議Part IIを、2020年度のPart Iと同様にオンラインで開催し、サステナビリティの重要性を再確認するとともに、標準化委員会において環境配慮型繊維製品の標準化に向けた調査を開始する等、各委員会にてサステナビリティの諸施策が推進された。協会の情報発信については、新たに情報発信WGを設置し、消費者啓発、顧客業界への化繊のポテンシャル訴求の効果的発信に努めた。
ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりや新型コロナウイルス感染症の先行きが見通せない中で、2022年度においても、環境・人権配慮、サプライチェーン強靭化や原燃料価格上昇等の直面する課題に対応しつつ、持続可能な社会の実現への貢献、日本の化繊産業の競争力の基盤維持・強化に取り組んでいく必要があり、協会として、中期活動方針に基づき、以下の活動を推進していく。

2. 2022年度の主な活動内容
1) サステナビリティの推進
① 持続可能な社会の実現に向け、循環経済に資する環境配慮型繊維の推進(リサイクル繊維、バイオマス繊維等)、製造・加工工程および製品による環境負荷低減(マイクロプラスチック対応、GHG排出抑制、環境負荷物質低減)に、引き続き、取り組む。
② 環境配慮型繊維製品普及の観点から標準化(JIS開発)による環境性能の見える化やラベル・公共調達制度等の推進を行う。
③ サステナビリティにおける環境以外の活動として、近年社会的要請が高まってきているとされるサプライチェーン上の人権や労務に関しては、今後策定される業界ガイドラインをベースに課題整理や啓発活動を実施し、会員企業だけでなくサプライチェーン上の関係先の理解も深めていく。

2) 競争力の基盤維持・強化
① 化繊業界の競争力を支えるため、大学や産地等における人材確保やその育成支援を行う。
② 通商政策や環境政策、DXやビジネス動向を含めた海外から情報の収集・調査を行い、新たな技術・ビジネスモデルの開発を目指し、会員企業間の情報共有等を進める。
③ ACFIF(アジア化繊産業連盟)標準化作業委員会のワークショップ開催を通じて、各国地域の協調体制を構築するとともに、標準化による先端繊維素材の普及を目指す。

3) 情報発信の拡充
① エコプロ展への継続出展やウェブサイト、SNSの活用等により、持続可能な社会の実現に向けた化繊業界の貢献を広く発信する。
② 先端繊維素材拡大には国内外の顧客業界へそのポテンシャルを訴求する必要がある。費用対効果を考慮しながら、他業界の展示会、セミナー等、活用できる機会を探索する。

4) ACFIF(アジア化繊産業連盟)における活動
① 2022年4月に開催されたアジア化繊産業会議のサステナビリティに関わる各国地域からの特別テーマ報告については、ACFIF会長国として、進捗状況を含めたフォローアップを行う。
② また、ACFIFとしての情報発信や情報共有についての企画提案を行い、アジア化繊業界のプレゼンス向上やその発展に努める。

5) その他
① サステナビリティやDXについては、欧州との接点を持つ日仏連携検討会や他の委員会のネットワークを活用しながら、国内外の動向や繊維産業に及ぶ影響等の情報収集を行い、会員各社に共有する。
② 繊維業界団体や他団体との連携については、繊維業界の発展に資するような取り組みとなるよう検討し、推進していく。

以上