日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(シンガポール) RGE、繊維リサイクル研究センターを設立

2022年08月10日
日本化学繊維協会

環境

RGE、繊維リサイクル研究センターを設立

 シンガポール大手財閥の金鷹集団(RGE:Royal Golden Eagle)は、このほど、シンガポール南洋理工大学(NTU:Nanyang Technological University)と繊維研究センターを、NTU材料科学工学部内に設置した。
RGEは傘下に世界最大手のセルロース繊維メーカーである中国のSateriやインドネシアの大手セルロース繊維メーカーAsia Pacific Rayon (APR)などを有する。
 RGEによると、この研究所は、次世代の環境に優しくサステナブルな繊維や、使用済み繊維製品の繊維へのリサイクルなどに焦点を当て、シンガポールの廃棄物ゼロビジョンとシンガポールグリーンプラン2030に沿った循環型テキスタイルエコノミーの達成に貢献するためのプロセスと技術を確立することを目的としている。
 RGEは、「繊維廃棄物を含む廃棄物輸入を禁止する国が増えている中で、現在の繊維リサイクル技術は、化学物質を使用した漂白および分離プロセスに依存することから、シンガポールのような都市環境では難しい。そこで、当社のセルロース繊維製造における経験を生かして、600万SG㌦の資金を提供し、研究センターを設立した。世界最大のセルロース繊維メーカーとしてのグローバルな知識により、サプライチェーン全体で繊維リサイクルを実現させたい。」と述べている。
 共同研究センターは、次の4つの研究分野がある。
①クリーンでエネルギー効率の高いリサイクル方法:
レーヨン、綿などのセルロース由来の繊維に焦点を当て、劣化を最小限に抑えた、繊維廃棄物を繊維にリサイクルする、より環境に配慮したリサイクル方法を検討する。
②繊維廃棄物の自動選別:
繊維組成に基づいて繊維廃棄物を識別および分類するための高度な分光技術と機械学習機能の組み合わせによって、ジッパーやボタンなどの付属品を取り除く自動選別システムを開発する。
③環境に優さしい染料の除去:
塩素系化学物質不使用の繊維廃棄物から染料を除去する環境に優しい方法を開発し、より環境に優しく生分解性の染料に代替する。
④新しいテキスタイル:
環境に優しくスマートな新世代のテキスタイルを開発する。
共同研究センターの設立と併せて、RGEは、低炭素、低化学物質排出、
およびエネルギー効率の高い繊維リサイクルパイロットプラントをシンガポールに建設し、実証試験を実施する予定。