日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(E U) EURATEX、Porto Conventionを成功裏に終了

2022年10月31日
日本化学繊維協会

繊維政策

EURATEX、Porto Conventionを成功裏に終了

 10月13~14日、欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、ポルトガルの繊維産業連盟ATP(Portuguese Textile Association)と協力、Porto市において、「Sustainability meets Competitiveness: How to Square the Circle? (サステナビリティと競争力の融合、いかに両立を達成すべきか)」をテーマに、Port Conventionを開催した。欧州から約250名の繊維産業関係者が出席した。同会議では、欧州の繊維産業が現在抱えている課題、イノベーションと創造力、品質と持続可能性を基礎に、将来への展望についての議論が行われた。
 基調講演は、ポルトガル経済・デジタル移行省の前大臣Pedro Siza Vieira氏が行い、地政学・マクロ経済の視点での変化と、この変化が繊維産業にいかに影響するかを説明した。この説明では、ニアショアリング(生産拠点を消費地近くに移転させること)やフレンドショアリング(同盟国/友好国などに限定したサプライチェーン構築)、欧州の持続可能なエネルギー活用による海外産ガスからの独立、循環的で自動化された生産ライン等について言及した。
 第1回目のCEOパネルでは、「サステナビリティ」を消費者に伝える際の課題にフォーカスした。同パネルでは、グリーンウォッシングに関する課題や、持続可能性の重要性を伝えるためにブランド企業が担うべき役割について議論が行われた。さらに、欧州当局が進めているエコラベルやデジタル製品パスポート(DPP)、製品の環境フットプリント(PEF)の新たな規制によって、どのような体制が新たに生まれてくるのかについても検証を行った。
 第2回目のCEOパネルでは、「Financing Sustainability(持続可能性に関する資金調達)」をテーマに掲げ、サステナビリティ投資にかかる費用や、この費用をブランド企業や小売業者などサプライチェーン全体でどのように管理すべきかについて考察を行った。
 会議では、4つのワークショップが行われた。主なテーマは、繊維産業の拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)、デジタル製品パスポート(DPP)、リサイクル繊維製品廃棄物、ラベリング/繊維製品環境フットプリントであり、これらは、2022年3月に発表された欧州の持続可能な循環繊維製品戦略において、今後段階的に実行される政策である。
 EURATEXのPresidentであるAlberto Paccanelli氏は、「私たちは、自らの企業にクリエイティブな人材を呼び込み、最高水準の繊維製品を生産、さらに持続可能性を高める必要がある。これらは、グローバル化が進み、高い競争力が求められる繊維産業で成功するための秘訣。私たちは厳しい時代に直面しているが、私自身は欧州の繊維産業の未来に楽観的である。私たちが繊維戦略と共に前進する姿を、欧州以外の国々が注目している。私たちは、こうした国々のためのベンチマークとならなければならない。欧州は持続可能な繊維分野において世界のリーダーとなるべき」と述べた。
 EURATEXのDirector GeneralであるDirk Vantyghem氏は、「明るい未来に備えるためには、新しい規制による枠組みが必要。つまり、品質と耐久性が当たり前のこととして求められ、透明性と持続可能性への取り組みが報われ、規則や基準に従わないフリーラード行為が市場から追放される枠組みである。EUの繊維戦略が目指しているのは、このような体制の確立であり、この体制は、公正でバランスがとれたものであることが必須条件。規制当局と繊維業界で、密接な対話を継続していくことも必要になる。」と述べた。