環境
Fairbrics、二酸化炭素由来のポリエステル繊維を開発中
フランスの繊維スタートアップ企業Fairbricsは、このほど、CO2ガスをPET繊維にリサイクルする技術開発への資金援助額が2,200万ユーロを突破したと発表した。
同社は2019年フランス・パリに設立された。同社は、化学工場で発生する二酸化炭素からポリエステルに変換する技術を開発するために、EUの「Horizon2020研究・イノベーションプログラム」の助成金1700万ユーロと、欧州7カ国から13のパートナーが参加する「技術アップスケーリングプロジェクト」の協力によって500万ユーロ、計2200万ユーロを調達した。
「技術アップスケーリングプロジェクト」は、技術開発(工学設計、CO2回収、化学物質の再利用、電解槽など)などについて、自動車部品メーカーのFaurecia、繊維メーカーのLes Tissages de Charlieuなど計13のパートナーが参加している。
調達した資金によって、2024年までに日産100kgのパイロットプラント、2026年までに日産1トンのデモプラントを建設する予定。同社の工場から排出される二酸化炭素を繊維製品にリサイクルする循環型アプローチにより、化石由来のポリエステルから二酸化炭素由来のポリエステルとすることで、気候変動対策とエネルギー集約型産業の脱炭素化を加速させることができる。
Fairbricsは、「ポリエステル製造において、化石資源の代替として排出された二酸化炭素を使用することは、当社にとって、温室効果ガス(GHG)排出という最大の課題の解決策。環境負荷が高いといわれている繊維産業に対して、環境に優しく経済的な当社の技術を提供できる。」と述べている。
現在、ポリエステルは世界で生産される繊維製品の60%を占め、ファッション業界のGHG排出量の1/3を占めているといわれている。Fairbricsは、すでにH&M、On-Running、Aigleなどの主要なブランドと戦略的パートナーシップを締結している。今後は、スポーツ用品、自動車、パッケージングなど他の分野にも対応する多角的な用途で技術開発を行う予定である。