日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(オーストリア) Lenzing、国内最大級の繊維リサイクルプロジェクトを開始

2023年05月19日
日本化学繊維協会

環境

Lenzing、国内最大級の繊維リサイクルプロジェクトを開始

 セルロース繊維大手Lenzing Groupが、この度、繊維関連企業・団体と、繊維リサイクルプロジェクトを立ち上げた。
 同プロジェクトに参画するのは、オーストリアのリサイクル企業Altstoff Recycling Austria AG(ARA)、オーストリアの繊維製品レンタルサービス会社Salesianer Miettex GmbH、オーストリアの社会支援組織Caritas、およびスウェーデンのパルプメーカーSödra。
 Salesianer Miettexが、家庭から廃棄される繊維製品を回収し、回収品はARAに引き渡され、その後Caritasへ引き渡される。Caritasが、自社のリサイクル工場にて、手作業により繊維選別を行い、その後、選別された繊維はSödraに送られる。Södraが使用済み繊維製品をリサイクルし「OnceMore」ブランドのパルプを生産する。Lenzingは、特殊繊維「TENCEL」の原料として「OnceMore」を使用する。
 今回の取り組みは、混紡繊維から抽出される繊維屑を使用した、企業間での繊維リサイクルとしては世界初の試み。
 LenzingのTextile Sourcing & Cooperations部門のHeadであるSonja Zak氏は、「繊維製品の廃棄問題は、1社が単独で解決できるものではない。他社との連携により、システム面で変化を起こすことができる。我々が目指すのは、よりサステナブルな繊維産業であり、循環性のあるビジネスモデルを促進している。そのためには、業界全体で取り組む必要がある」とコメントした。
 また、ARAのCEOであるMartin Prieler氏は、「欧州の循環経済行動計画において、廃棄繊維製品や中古品が果たす役割は大きい。我が社が30年にわたり培ってきた知見や専門性は、包装材や繊維等、様々な製品のリサイクルに役立つだろう」とコメントした。
 LenzingとSödraは、2021年、繊維リサイクルにおける業務提携を開始し、ファッション産業における循環経済の促進に貢献してきた。両社は、業界規模で使用済み繊維製品がより広く使用されるよう、この業務提携において、知見の共有や、リサイクル方法の共同開発を行っている。2027年に年産50,000㌧の使用済み繊維製品のリサイクル実現を目標としている。