日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(E U) 欧州委、改正廃棄物枠組み指令(WFD)案を発表

2023年07月10日
日本化学繊維協会

環境

欧州委、改正廃棄物枠組み指令(WFD)案を発表

 7月5日、欧州委員会は、繊維廃棄物に重点を置いた改正廃棄物枠組み指令(WFD:Waste Framework Directive)案を発表した。
 この改正指令案は、2022年3月に発出した「持続可能な循環繊維戦略」のビジョンに沿ったもので、EUにおける繊維製品の分別・回収、リユース、リサイクルを加速させるものであり、2025年までに繊維製品を分別回収する義務を導入することに伴い、繊維製品・履物に対する拡大生産者責任(EPR)制度の導入が提案されている。具体的には、繊維製品の全ライフサイクルについて生産者に対して責任を負わせ、EU全体で繊維廃棄物の持続可能な管理を支援することが提案されている。そして、欧州委員会は、その目的のためには、関連インフラを整備し、新たな技術的ソリューションを開発するための多額の投資が必要となると指摘している。
 特に、欧州委員会は、すべてのEU加盟国において、繊維製品に対する強制的かつ調和のとれたEPR制度の導入を提案している。EPR制度は、生産者に対し、製品のライフサイクル全体、特に製品寿命の終わりまで責任を持つことを求めるものである。これまで、EPR制度は、包装、バッテリー、電気・電子機器などの他分野での廃棄物管理の改善に成功しているとしている。本提案では、生産者の資金拠出レベルは、繊維製品の循環性と環境性能に基づいて決定(エコモジュレーション”eco-modulation”)する。これにより、繊維製品の回収、選別、リユース、リサイクルに携わる社会的企業を支援、最終的には、生産者がより循環型製品を設計するようインセンティブを与えることになるほか、例えば、繊維to繊維リサイクルなど繊維産業の循環経済確立のための革新的な技術研究開発を促すことが期待される。
 本案では、繊維廃棄物の違法輸出問題への対応も記されており、その関連で、何を廃棄物とし、何をリユース/リサイクル可能な繊維製品と見なすかを明確にすることも提案されている。
 この改正指令案は、今後、欧州議会、理事会による検討を経て、立法手続きが検討される。