日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(米国) Inditex、AmbercycleからリサイクルPET調達へ

2023年11月10日
日本化学繊維協会

環境

Inditex、AmbercycleからリサイクルPET調達へ

 このほど、ZARAを傘下に有するスペインの世界最大の衣料小売企業Inditexが、Los Angelesに本拠を置く繊維to繊維リサイクルを手掛けるスタートアップ企業Ambercycleに対して、7,000ユーロ(7,400万㌦)超を投資するとともに、同社が繊維廃材をリサイクルしたポリエステル繊維Cycoraを調達することで合意した。
 Inditexは、2030年までに、同社の製品に使用する繊維素材の25%をリサイクルやバイオなどのいわゆる「次世代素材」を使用するとの方針を固めており、今回の契約締結はその一環。
 Inditexによると同社は今後3年にわたり、Ambercycleが生産するCycoraブランドのリサイクルポリエステルの70%を購入する。
 Ambercycleの使用済み繊維製品のリサイクルは、①使用済み繊維製品を回収、ボタンやファスナーなどの金具を取り除く、②繊維製品を細断、分子レベルに精製する。そして染料やその他の不純物を除去する、③精製された材料をペレットに再構成する、④リサイクルペレットを紡糸、リサイクルポリエステルCycoraの生地を生産、という工程を経る。
 今回の契約に伴い、Ambercycleは、Inditexからの投資を活用、同社初となる商用規模の繊維リサイクル工場に資金を投じる。Cycoraの商業生産も2025年頃に開始する予定であり、同工場で生産されたCycoraはその後3年にわたりInditexの製品に使用される。
 グローバルアパレルブランドの中には、バージンポリエステルへの依存低減を模索している企業も多く、こうした企業は、PETボトルからのリサイクルポリエステルへの切り替えを進めている。しかし、この動きにより、使用済みPETボトル需要が押し上げられ、その価格上昇につながっていることから、この取り組みには批判も多い。
 InditexのChief Sustainability OfficerのJavier Losada氏は、「繊維to繊維リサイクルの取り組みは緒についたばかりであるが、私たちは、繊維to繊維リサイクルを実現するため、新しいソリューションやプロセス、材料の強化に向けてイノベーションを展開していきたい」と述べている。
 Inditexは、繊維リサイクルを手掛けるスタートアップ企業とへの投資を続けており、今回のAmbercycleとの契約は、その最新のもの。同社は昨年、フィンランドのInfinited Fiber Co との間で、Infinited Fiber CoのInfina繊維の30%を3年にわたり購入する契約を、1億ユーロ(1億400万㌦)相当で締結している。