日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(世界) Canopy、「Hot Button 2023」を発表

2023年12月20日
日本化学繊維協会

環境

Canopy、「Hot Button 2023」を発表

 このほど、カナダ森林保護NGOのCanopyはセルロース繊維メーカーに対する最新の森林保護ランキングレポート「Hot Button 2023」を発表した。
 このランキングは、第3者検証機関の認証完了、森林保護への貢献、代替品活用によるイノベーション、木材パルプ調達方針、サプライヤーへのトレーサビリティ、持続可能な調達、原生林等での事業運営、情報開示などの様々な観点から点数で評価されており、それぞれの点数に応じて「濃グリーンシャツ」~「薄グリーンシャツ」~「イエローシャツ」~「レッドシャツ」の順番でランキングが付けられる(最高スコアは40点)。
 最高ランクの濃グリーンシャツは30点以上の企業に与えられ、2023年度は、合計8社と前年の6社から2社増となった(下表のとおり)。
 グリーンシャツ以上を獲得した企業の生産が全体の生産に占める割合は、2021年が50%、2022年が53%、2023年が54%以上と年々上昇しており、Canopyでは、セルロース繊維メーカーの大半は、サプライチェーンから古代林や絶滅危惧林を排除することに積極的に取り組んでいると分析している。
 Canopyによる本報告書の分析は以下の通り。
・2023年、低環境負荷の新製品を発表するセルロース繊維メーカーが増えている。
・EUでは、「持続可能で循環繊維製品のための繊維戦略」を実現するため、バリューチェーンでのリサイクル繊維を増やす方向にある。
・中国のセルロース繊維メーカーは、繊維廃棄物の国内での収集・処理イニシアチブを進めており、また、代替原料の利用を模索している。
・参加したほぼすべての企業が次世代R&D活動を報告している。また、次世代パルプ製造にも関心を示している。次世代パルプ使用は、前年比で大幅に増加しており、一部企業は次世代セルロース繊維の設備改良を行っている。
・多くの企業は、繊維廃棄物の回収の拡大や混紡繊維の分離に関する課題解決のため、業界ベース/政府プロジェクトに参加している。
・企業の動きでは、糸麗雅は2023年にReGracell次世代パルプの含有率を30%から50%に引き上げる意向を発表した。唐山三友化繊は、次世代パルプの生産能力を年産20万㌧に拡大する意向を発表した。Lenzingは2026年までに次世代原料を10万㌧生産することを発表した。Aditya Birlaは2024年までに次世代原料50%含む原料を10万㌧生産することを発表した。
・現在、リサイクルを含む次世代繊維の確立された商業ラインは、前年より1つ多く9ある。これには、LenzingのRefibra、Aditya BirlaのLiva Reviva、唐山三友のRevisco、糸麗雅のReGracell、SateriのFinex、白鷺化繊のEco-Bailuなどを含む。Eastman Chemical Companyは米国産コットンリンターのセルロースを含むNaia Renew ESを上市した。

Hot Button 2023の濃グリーンシャツ獲得企業