日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(オーストリア) Lenzing、CELLFIL Projectに参画

2024年08月09日
日本化学繊維協会

環境

Lenzing、CELLFIL Projectに参画

 7月31日、オーストリアの大手セルロース繊維メーカーLenzing Groupが、EUの研究開発プログラム「Horizon Europe」の支援を受けて立ち上げられた「CELLFIL Project」に参画することを明らかにした。
 「CELLFIL Project」(正式名称:CELLulose Lyocell FILaments as a Scalable Solution for Circular Textile Production:循環型繊維生産のスケーラブルなソリューションとしてのセルロースリヨセルフィラメント)は、リヨセル長繊維の拡大を促進することを目標とした、4年計画のプロジェクトであり、オーストリアの非営利団体RTDS Groupが中心となり、Lenzingを含め15の企業・研究機関等が参画する。EUから690万ユーロの補助金を受けている。
 このプロジェクトの目標は、石油由来原料繊維の代替となるリヨセル長繊維の研究開発を促進すること。ファストファッションによる環境汚染が問題となっている中、ファストファッションに使用されるバイオ繊維を拡大していきたい考え。プロジェクトでは、原料調達から流通に至るまでの全ての段階で、環境への配慮がなされるよう、原料、生産工程、中間処理の最適化に取り組むほか、様々な用途に適用できるようリヨセル長繊維の高機能化、リヨセル長繊維織物の織機の最適化、用途開発に取り組む。このプロジェクトには、Adidas等の大手ブランド企業も参画しており、バリューチェーンやビジネスモデルに大きな変革をもたらすことが期待される。
 欧州委員会は、「Horizon Europe」の最後の3年間(2025~27年)の戦略における3つの重要な戦略方向として、①グリーン移行、②デジタル移行、③回復力、競争力、包括的で民主的な欧州を示しており(海外速報No.1327)、繊維については、「持続可能な循環型繊維戦略」において、EU域内で販売される繊維製品を、2030年までに、耐久性、修理可能性、リサイクル性のある製品にすることを目標としている。
 RTDSは、これまで、EUの研究・イノベーションに関する様々なプロジェクトで、コーディネーターとして研究機関等と活動してきた実績があり、欧州グリーンディールや、EU経済の「Twin Transition(双子の移行:グリーンへの移行とデジタルへの移行)」に資する活動を推進してきた。RTDS自身は、研究や開発を行っておらず、「CELLFIL Project」では、Lenzingが技術開発の役割を担う。