日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(イスラエル) NILIT、豪スタートアップとナイロン66循環システム構築へ

2024年09月10日
日本化学繊維協会

環境

NILIT、豪スタートアップとナイロン66循環システム構築へ

 イスラエルの大手ナイロン66メーカーNILITが、この度、オーストラリアのスタートアップ企業Samsara Ecoと、東南アジアに、ナイロン66繊維のリサイクル工場を建設する計画を発表した。
 ナイロン66の世界の生産能力は、年産400万㌧。衣類にも多く使用されているが、特にスパンデックス等との混紡ではリサイクルしにくいと言われている。
 NILITは、アパレル向けの高品質なナイロン66長繊維メーカー。国内外に生産拠点や営業所を構えており、世界各国の市場で幅広く商品を展開している。リサイクルへの取り組みも積極的であり、最近では、バイオナイロン66の「SENSIL by Nature」シリーズ(海外速報No.1262)や、リサイクルナイロン66の「Sensil EcoCare」シリーズ(海外速報No.1286)、ナイロン66繊維の循環性構築への新たなアプローチ「SENSIL FLOW」(海外速報No.1330)を開発した。
 Samsara Ecoは、プラスチックのリサイクル拡大により気候変動に変化をもたらすとの理念に基づき、プラスチックを際限なくリサイクルするための有用な物質として、酵素に着目。物理学、化学、生物学、コンピューター科学の応用により、自然界に存在しない酵素を開発した。一般家庭や工業からプラスチックごみを回収、それらを自社のリサイクルシステムで原料にした後、この酵素を使用してモノマーにする。モノマーの精製を経て、再ポリマー化し、新たなプラスチックペレットを製造する技術「EosEco」を確立した。
 NILITのリサイクル工場は、2026年後半に完成する予定であり、同社のポリマー化技術、紡糸技術、リサイクルナイロン66繊維の製造技術と、Samsara EcoのEosEco技術が導入される。
 この度のリサイクル工場建設は、「低環境負荷のナイロン66を生産する」という取り組みの一環。Samsara EcoのCEO兼創設者であるPaul Riley氏によると、この共同プロジェクトの目標は、ナイロン66の循環システムの構築であり、アクティブウェアや自動車の内装材等、廃棄された繊維製品に含まれているナイロン66をリサイクルする計画であるという。