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2014年7月1日に統合しました

(欧州) 欧州委、仏ケミカルリサイクルの補助金を認可

2025年02月10日
日本化学繊維協会

環境

欧州委、仏ケミカルリサイクルの補助金を認可

 2月3日、欧州委員会は、欧州連合(EU)の国家補助規則に基づき、フランス政府による特定プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルを支援する5億€の支援策を承認した。この決定は、フランスが欧州委員会に対し、トレー、フィルム、飲料用以外のPETボトル、ポリエステルを含む繊維品など、特定プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルへの投資を支援する5億€のスキームを導入する計画を通知したことに対応したもの。今回の決定について、欧州委員会は、より循環的で強靭な経済を求める欧州委員会の指針達成に貢献するものであるとしている。
 このスキームでは、混合プラスチック廃棄物や汚染プラスチック廃棄物を「バージン同様」の原料に戻す「ケミカルリサイクル技術」を支援することを目的としている。このスキームにおいて、補助金は直接交付され、あらゆる規模、業種の企業を対象としている。補助額の上限は、対象費用の40%である。この補助額は、プラスチック廃棄物のケミカル・リサイクル・プロジェクトの総投資費用と、環境に配慮していないプロジェクトの投資費用の算出を比較した際の追加投資が対象である。
 欧州委員会は、EUの競争政策に関する法的根拠であるEUの機能に関する条約TFEU)および気候・環境保護・エネルギーに関する国家補助ガイドライン(CEEAG)に基づき、本措置を以下の通り評価した。
〇本スキームは、ケミカルリサイクルを普及させるために必要かつ適切なものであり、公的支援がなければ受益者が関連投資を行うことはないと考えられるため、同制度は「インセンティブ効果」があると判断できる。
〇フランスは、同制度がEU域内の競争と貿易への影響を考慮し、十分なセーフガードを設けている。
〇同制度は、あらゆる分野で事業を営む全ての企業を対象としており、また、援助はプロジェクト実施に必要な最小限に限定されている。
欧州委員会・競争政策担当の上級副委員長のTeresa RIBERA氏は「フランスの本スキームは、ケミカルリサイクルへの投資を支援するものである。この制度は、2050年までに気候変動中立を達成するというEUの目標に貢献する。同時に、この制度は潜在的な競争の歪みを最小限に抑えることを保証する。」と述べている。