日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(オーストリア) Lenzing、サステナビリティ報告書を発表

2025年03月28日
日本化学繊維協会

環境

Lenzing、サステナビリティ報告書を発表

 大手セルロース繊維メーカーLenzing Groupが、この度、サステナビリティ報告書「Sustainability Report 2024」を発表した。
 2024年版の報告書のテーマは、「Active Transformation Here」。主な概要は、下記の通り。
(1)ネットゼロへ向けた取り組み
・英国の環境団体「Science Based Targets Initiative(SBTi)」の監査を受け、科学的な根拠に基づいたネットゼロ目標を設定。
・自社の短・長期的戦略「Climate Action Plan」に沿った環境取り組みを推進している。オーストリア国内の太陽光発電システムやバイオマス発電所の設備投資を実施。また、中国の南京工場とインドネシア工場(South Pacific Viscose)に2億ユーロを投じ、設備を最新化した。
・温室効果ガス排出は、2017年比で41%減。
・廃水排出削減への取り組みを推進。インドネシア工場の廃水設備 を最新化したほか、英国工場の廃水設備に2,400万ユーロを投じ、2025年に着工予定。
(2)イノベーションへの取り組み
・不織布向けの撥水性セルロース繊維を開発。
・スタートアップ企業Exponent Envirotechと共同で、水を使用しない染色技術を開発。
・Recyc Leatherと共同で、「TENCEL Lyocell」繊維とリサイクル皮革繊維で作られる靴用素材を開発。
・地球温暖化による海面上昇への取り組みとして、「Glacial Threads: From Forests to Future Textiles」プロジェクトを推進中。2024年、ミラノで開催された「CNMI Sustainable Fashion Awards」にて、「Biodiversity and Water Award」を受賞。
・2024年、EUとの共同出資により6,900万ユーロを投じ、リヨセル長繊維の拡大促進のためのプロジェクト「CELLFIL」を開始。このプロジェクトには、オーストリアのコンサル会社RTDS Groupや、業界や研究所等から13機関が参画。
・スウェーデンのパルプメーカーSödraと共同で、廃繊維製品の工業規模でのリサイクル方法を開発。
(3)国際認証の取得
・英国の環境情報開示システム運営団体「Carbon Disclosure Project(CDP)」より、「Climate」部門で「A」評価、「Forests」部門で「A-」評価、「Water Security」部門で「B」評価を取得。
・サステナビリティ評価機関「EcoVadis」より、CSR(企業の社会的責任)で「Platinum」評価を取得。
・サステナビリティ評価機関「MSCI」より、「A」評価を取得。
・カナダ森林保護NGOのCanopyが、セルロース繊維メーカーに対する最新の森林保護ランキングレポート「Hot Button 2024」で、「濃グリーンシャツ」を取得。
 Lenzing Groupの「Sustainability Report」は、Global Reporting Initiative(GRI)とAustrian Sustainability and Diversity Improvement Act (NaDiVeG)の定める基準に従って作成され、KPMG Austria GmbHが税務面と会計面から監査を実施している。