日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

(EU) EURATEX、DPP促進のための文書を発表

2025年05月09日
日本化学繊維協会

環境政策

EURATEX、DPP促進のための文書を発表

 4月30日、欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、2024年7月に施行されたエコデザイン規則(ESPR)の実施に当たり、導入が予定されているデジタル製品パスポート(DPP)について、実際の運用では製品のライフサイクルの全てのデータが必要となり、これを可能にするため、EU当局に対して各種の規格の整合性を促す文書(Data gatheringfor the DigitalProduct Passport:デジタル製品パスポートのためのデータ収集)を発表した。
 その概要は以下の通り。
 デジタル製品パスポート(DPP)は、複数の工場や事業者にまたがる製品の環境性能とそのライフサイクルに関する情報が含まれる。DPPの詳細な内容は決定されていないが、企業はサプライチェーン全体(原料~製品の寿命が尽きるまで)でのデータを収集する必要があるとみられる。現在、実施されているDPPのパイロット・プロジェクトの状況から洞察すると、以下を示唆している。
 〇製造企業は、バリューチェーン全体を通じて世界中のビジネスパートナーからの情報要求に直面することになる。
 〇DPPに必要なデータ収集作業の複雑さとその量は、手作業か半手作業かを問わず課題であり、製品とに関する正確な情報を管理、伝達するための自動化が課題である。
 〇銀行業界の経験からは、確立された基準なしにデータ共有を義務付けることは、かえって複雑さを増すことにつながる。当局が利害関係者のワーキンググループを招集、共通の基準を定義することでこの負担が軽減されるとみられる。
 〇DPPを成功裏に導入すること、つまり消費者、政府当局、ビジネス パートナーとの情報共有を促進するため、EURATEXは欧州委員会・関係利害関係者に対して、繊維のバリューチェーン全体にわたるデータ収集プロセスの調和に取り組むよう求める。
 〇標準化は、IT開発者にとっても、繊維バリューチェーンの関係者にとっても不可欠である。この取り組みは、2つの優先事項、①情報項目(コンテンツ)は何か、②どのように情報伝達するかの定義から始めるべきである。
 ①情報項目:語彙の定義、データ構造、IT実装を含む、伝達交情報のフレームワークとデータモデルを開発すること。これらは、「すぐに使える」ものであると同時に、セクター横断的な相互運用を可能にするものでなければならない。フレームワークは、それぞれの企業ではなく、セクターのニーズに合わせて調整されなければならない。
 ②情報伝達方法:情報を簡単かつ安全に転送できるように、データ交換のためのプロトコルを確立する必要がある。この結果、繊維・アパレル企業は必要な情報を一度提供すれば、複数の目的で利用できるようになる