日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

ナンバー「化学せんい」は、環境にやさしいの?

化学せんいには、天然の木材を原料としたレーヨンなどの“再生せんい”と石油を原料としたナイロンやポリエステルなどの“合成せんい”とがあります。天然せんいは作ることのできる量が天候に左右され、また広大な畑や牧場地が必要です。安定して安く作れて丈夫な“化学せんい”は、この天然せんいの不足分を補い私たちの生活に役立っています。
化学せんいと環境問題に対するいくつかの質問にお答えします。

01化学せんいに使っている化学物質は環境を汚さないの?

化学せんいを作る時に、多くの化学物質を使います。これらの化学物質の一部には人の健康に影響を与える物質もありますが、それらについては、取り出して回収して処理していますので環境を汚すことはありません。また、化学せんい製品の中には、人の健康に影響を与えるような物質は残っていないので安全です。

02化学せんい製品を燃やすと有害なガスが出るの?

天然せんい製品も化学せんい製品も使用後の廃棄の時に燃やすと有害ガスが出る恐れがありますが、これは燃やし方に原因があります。自治体などの焼却炉で決められた燃焼方法を用いれば、普通の製品と同じように人の健康を害することはありません。

化学せんい製品を燃やすと有害なガスが出るの?
03化学せんい製品は埋め立てた時どうなるの?

化学せんいの多くは、強くて、酸やアルカリに強く耐久性があるため、農業や建築・土木用の資材にも多く使われています。これらの化学せんい資材を埋め立てで廃棄した場合は、微生物でなかなか分解しないものがあります(合成せんいの多くが該当します)。丈夫で長持ちする性質が、逆に埋め立てた場合にはなかなか分解されず困ることがあります。このような場合には、埋め立てずに燃やして熱エネルギーを利用したり、リサイクルすることが望ましいことになります。

近年では、微生物で分解される“合成せんい”も開発されています。今、注目されているのがトウモロコシの中のデンプンを原料として合成した、ポリ乳酸せんいです。このポリ乳酸せんいは、強さはポリエステルなどの合成せんいとほぼ同じです。このせんいは、堆肥などバクテリアが多く生息する土の中では、簡単に分解します。このせんいは、農業用資材をはじめ衣料品にも使われています。

また、このせんいは、植物を原料としているため、サステイナブル(持続可能)な“合成せんい”といえます。

サステイナブル(持続可能)な合成せんい
ポリ乳酸せんいの活性汚泥(おでい)(微生物が豊富に生息する泥)中の分解の状況
ポリ乳酸せんいの活性汚泥(おでい)(微生物が豊富に生息する泥)中の分解の状況