日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

マイクロプラスチック問題への対応

 2019年に合意された大阪ブルーオーシャンビジョンでは海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにする目標を掲げています。化繊産業はリサイクル推進などにより資源の有効利用を進めるとともに、繊維製品から発生する繊維屑に起因する海洋中のマイクロプラスチック問題への対応が求められています。
 こうした中、日本化学繊維協会は、マイクロプラスチック問題への対応を重要課題として、国内外の関係機関と連携して、調査研究、情報収集・発信等の活動を進めています。

海洋汚染や生物影響についての科学的知見の収集

 繊維屑に起因するマイクロプラスチック問題について適切かつ有効な対策を行うには、先ずは海洋中の存在量・分布、発生源、流出経路、生態系や環境への影響などについての科学的知見を得ることが重要です。
 このため、日本化学繊維協会では、国、内外の関係機関、大学・研究機関等と連携して、調査研究、情報収集等の活動を進めています。

繊維製品の洗濯時に発生する繊維屑の測定方法の開発

 科学的根拠の基となる正確なデータを収集する観点から、(一財)カケンテストセンターをはじめ、大学・研究機関、繊維素材/製品、洗剤、洗濯機、消費者団体等の協力のもと、洗濯時に発生する繊維屑の測定方法の開発に取り組み、2023年5月にISO国際規格(ISO 4484-3)として発行しました。この規格は、日本が提案し、欧米・アジア各国の協力のもと策定したものです。
 繊維屑発生の少ない繊維製品の開発や洗濯排水による海洋汚染の推定に寄与することが期待されます。

繊維屑が出にくい製品の開発、出やすい製品の対策

 化繊各社は、繊維屑が出にくい繊維製品の開発をはじめ、繊維製品のリサイクル、海洋生分解性繊維の開発等、マイクロプラスチックの抑制に積極的に取組んでいます。
 こうした取組みと平行して、日本化学繊維協会では、2023年度に市販繊維製品の繊維屑発生量の調査(ISO 4484-3による各種繊維製品の評価とデータ蓄積)を行い、繊維屑の出やすい製品の対策検討(表示等)に役立てたいと考えています。

繊維製品の消費段階を含めた外部機関との対策検討

 繊維屑に起因するマイクロプラスチック問題の対策は、繊維製品の製造段階と消費段階、すなわち、繊維素材、繊維製品、洗濯機、下水処理などがそれぞれの持ち場において排出抑制を講じ、総合的な抑制効果に繋げることが重要です。
 国や関係業種の協力のもと、異業種間の対話も進めています。

マイクロプラスチック問題についての情報発信

 上記の調査・情報収集の活動を通じて得られた情報は、関係機関と共同でリーフレット等のかたちに取り纏めし、発信しております。
 また、日本化学繊維協会の会員会社が開発した、繊維屑の出にくい繊維製品、海洋生分解性繊維等は、展示会(エコプロ展)で展示するなど、学生や一般消費者の方々も含めて広くご覧いただいております。