日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

環境にやさしい繊維
リサイクル

環境配慮型モノ作りの先駆者~豊富な環境貢献事業を持つ合繊業界~

「観測史上初」「何十年に1回」という異常気象による大きな災害の背景には、地球温暖化問題があると言われています。温暖化対策はもちろん、地球環境への貢献は世界的な課題でもあり、企業の環境経営の重要性は一段と増していますが、繊維業界は早くから地球環境に配慮したモノ作りや環境問題に貢献する事業に取り組んできました。
もちろん、繊維製品も例外ではありません。繊維は私たちの暮らしに密接に関わっていますが、ペットボトルやアルミ缶などに比べると、そのリサイクル率は低いのが現状です。石油を原料とする合成繊維を再利用する、あるいは、石油に代わる原料を用いるなど資源を有効活用する生産技術の開発で、環境に対する負荷を軽くする取り組みは非常に重要で、今後の発展が期待される分野です。
リサイクルとは「作って、使って、集めて、また作る」というサイクルを繰り返すことです。繊維製品のリサイクルには「ケミカルリサイクル」「マテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つがあり、このうち原料に戻す「ケミカルリサイクル」が可能なのが合成繊維の大きな特徴です。

ケミカルリサイクル

回収した合成繊維製品を工場に送り、洗ったり、細かく粉砕したりした後で化学的に分解し、元の原料であるDMT(ジメチルテレフタレート)に戻して繊維の原料として使用する方法です。ユニフォームを中心に、ナイロン製やポリエステル製の製品を回収後にケミカルリサイクルする企画もあり、ポリエステルの場合はDMT(ジメチルテレフタレート)、ナイロンの場合にはカプロラクタムに戻して繊維の原料として使われます。ケミカルリサイクルの場合は、同一素材の衣料品のみを大量に集めて処理する必要があるため効率的な回収システムを作ることが必要です。

マテリアルリサイクル

原料まで戻すケミカルリサイクルとは違い、材料のままで利用するリサイクルの方法です。古着などを裁断して布状にばらし、雑巾や工場の油拭き用の布として利用する方法(ウエス)や古着を細かく裁断した後、無数の針で引っ掻いて、布から繊維をわた状にほぐす方法(反毛)、合成繊維100%の場合は加熱・溶解後にプラスチックなどの成形品原料として利用する方法(再溶解)もあります。合成繊維の場合は、反毛によってフェルト状にし、自動車の防音材などに使用されます。ポリエステル製の衣料の場合はボタンやファスナーなどプラスチックの成型品用途に使用されることもありますが、この樹脂として使用する場合は用途が限られているので、新しい用途の開発が求められています。

サーマルリサイクル

他の可燃ごみと一緒に焼却して発電などに利用するリサイクルの方法です。合成繊維メーカーでは繊維製品の廃棄物から金属などを取り除いて、自分の工場で使用する石炭ボイラーの燃料として利用するサーマルリサイクルの取り組みを行っています。

ペットボトルのリサイクル

ペットボトルもポリエステル繊維に再生利用することができます。ペットボトルはポリエステル繊維と同じポリエチレンテレフタレートを原料としており、回収されたペットボトルから再生した原料を使ってポリエステル繊維を作ることができます。ペットボトルは容器包装の回収・資源化は法律で義務付けられており、各社がリサイクル技術を確立しています。

繊維製品リサイクルの現状と課題

合成繊維メーカーによる繊維製品リサイクルの取り組みは現在、ユニフォーム(工場向け、学校体育衣料)など特定ユーザー向けが中心となっています。回収システムを作ることが比較的容易にできるからです。量がまとまりやすく、リサイクル商品企画や回収費用分担が比較的容易なユニフォームは繊維製品リサイクルに適しているのです。
逆に、一般衣料の場合はなかなか難しいのが現状です。流通構造が複雑なことに加え、輸入浸透率も高く、様々な素材が用いられるために一律なリサイクル方法の確立が難しいことがその理由です。より効率的で、ユーザーとも協力できるリサイクル技術・システムの開発、改善に各社が取り組んでいます。夏のクールビズ、冬のウオームビズに対応した保温、清涼素材による衣料品開発ですが、その他にも各種産業の材料として環境に貢献しています。

リサイクル可能な人工皮革
~旭化成「ラムース®」~

旭化成の人工皮革「ラムース®」はポリエステル100%素材です。生産工程で使用される溶剤や仕上げ剤にもラムース®をリサイクル可能にするものを使用しており、リサイクル可能な人工皮革と言えます。

PETボトルから精製
~東洋紡STC「エコールクラブ®」~

東洋紡STCのポリエステル素材「エコールクラブ®」はワーキングウエア、メディカルウエア(白衣)、学生鞄、旗・幟まで幅広く展開されています。回収された使用済みPETボトルから精製したPETフレークから生産されます。原料段階の環境負荷の低減に貢献しています。

ポリエステル、ナイロンをリサイクル
~東レ「エコユース®」「サイクリード®」など~

東レは再生型リサイクルによるポリエステル素材「エコユース®」、回収循環型リサイクルによるポリエステル、ナイロン6素材「サイクリード®」を展開します。エコユース®は回収PETボトルや生産工程内で発生したフィルムくずを利用し、ペレット化して糸わたにし、企業用のユニフォームだけでなく、高機能スポーツウエアにも採用しています。
サイクリード®のナイロン6タイプは、使用済みナイロン製品を回収、ケミカルリサイクルで繊維原料に再生します。ポリエステルでも展開しており、マテリアルリサイクルでボタンやファスナーなどの副資材として再生されています。

  • 「エコユース®」
    (東レ提供)
  • 「サイクリード®」
    (東レ提供)

PETボトルリサイクルとマテリアルリサイクル
~ユニチカトレーディング「ユニエコロ®」「エコラリー®」~

ユニチカトレーディングの「ユニエコロ®」は使用済みPETボトルをリサイクルして作られる再生ポリエステル繊維です。100%素材とポリエステル混紡素材を展開しています。ユニエコロ®で作られたウエアはエコマークを取得できます。

ペットボトルが生まれ変わるまで

  • ペットボトルが「ユニエコロ®」に生まれ変わるまでのイメージ図
    (ユニチカ提供)

マテリアルリサイクルシステムとして展開する「エコラリー®」は使用済みユニフォームを使うものです。反毛して再生化し、フェルトなどの新しい製品として生まれ変わらせる、循環型社会に適応したリサイクルシステムです。

  • マテリアルリサイクルシステム「エコラリー®」のイメージ図
    (ユニチカ提供)

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