日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

強い繊維/強くて弾性がある
高強力ポリアリレート繊維

極低温下でも性能を発揮する高性能繊維

高強力ポリアリレート繊維はポリエステル系液晶ポリマーを原料にします。一般的にはプラスチックにしているもので、繊維はプラスチックよりもさらに強度があります。同繊維を世界で唯一生産しているのはクラレとKBセーレンです。クラレは「ベクトラン®」の商標で販売しています。

1990年に事業化された「ベクトラン®」は高強力・高弾性率のほか、水をほとんど吸わない、耐摩耗性、寸法安定性に優れるなどの特徴から水産資材分野を中心に幅広い用途に使われています。「ベクトラン®」の基本技術は米国の旧ヘキストセラニーズが開発したものです。クラレはその基本技術をベースに繊維化技術を確立し、世界で初めて事業化しました。「ベクトラン®」はポリエステル系の液晶繊維です。(ちなみに原料は異なりますが、アラミド繊維も液晶繊維の一つです)
「ベクトラン®」も高強度、高弾性率に加え①水分を吸収しない②寸法安定性に優れる③極低温下化での物性が優れるなどの特徴があり、漁網など水産資材やネット、ロープなどに使われています。NASAの火星探査機着陸用エアバッグにも採用されました。

  • 「ベクトラン®」ロープ(クラレ提供)

KBセーレンは2011年から高強力ポリアリレート繊維「ゼクシオン」の本格生産を始めました。同社は2009年に新規事業推進室を新設し、様々なエンプラを原料とする繊維の事業化に乗り出しました。その一つがゼクシオンになります。ゼクシオンは220デシテックス(T)以下の細繊度という点に特徴があります。高強力ポリアリレート繊維はロープ、ケーブル、ネット用の太繊度が主力ですが、ゼクシオンはプリント配線基板用など強度だけでなく、低誘電率のような電気特性を生かした分野の開拓に取り組んでいます。さらにFRP用やペーパー用などの展開もや振動減衰性などの特徴を生かした開発も進めています。

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