日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

化学繊維の用語集

繊維製品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進

わが国のリサイクル推進に関わる法制度は1991年に施行された「再生資源利用促進法」が最初で、その施策は、廃棄物の増加、自治体処理施設能力の限界、廃棄物処分場確保の困難化などの一般的課題や、有害性や処理困難性など特定廃棄物の課題への対応を中心とするものでした。その10年後の2001年に、現在のリサイクル推進の枠組みである「循環型社会形成推進基本法」に基づく法体系が整備され、特定課題の有無にかかわらず、資源を使用する者すべてに3R(リデュース、リユース、リサイクル)促進による廃棄物削減の責務が求められるようになりました。
リサイクル対策については、経済産業省の「循環経済ビジョン」(1999年)において、①排出量の多いもの、②資源の有用性の高いもの、③処理困難性の高いもの、の3つの優先度の高い分野から優先的に取り組むこととされています。
この観点から、容器包装リサイクル法(2000年4月施行)、家電リサイクル法(2001年4月施行)、食品リサイクル法(2001年5月施行)、建設資材リサイクル法(2002年5月施行)、自動車リサイクル法(2003年1月施行)といった特定品目を対象とするリサイクル法が次々と導入されていますが、繊維製品についてはこのような法規制は存在せず、各業種が取り組み可能な部分から自主的に3Rを推進しているのが現状です。

ケミカルリサイクル
合成繊維製品を解重合などの化学的処理によりモノマーに戻し、再度原料として利用するリサイクル方法です。
従来合繊工場では、ナイロン6やポリエステルなどの製造工程で発生するポリマーや繊維屑のケミカルリサイクルが行われています。また、繊維系廃棄物では、ポリエステルやナイロン6製の易リサイクルユニフォーム(リサイクルし易いように企画した製品)、及びナイロン6製の産業用ネットが回収され、ケミカルリサイクルが行われています。ポリエステル製品については、回収したPETボトルなどを、石油から作ったバージン原料と同純度のDMTに戻し、完全なリサイクルを可能とする技術が確立されました。既に2002年より事業化され、PETボトルや繊維製品から、バージン原料で作るものと同等の繊維が生産されており、その環境負荷削減効果は、経済産業省の「繊維製品のLCA調査報告書」によって、石油からDMTを生産するのに対し、消費エネルギーで84%、二酸化炭素排出量で77%削減できることが実証されています。また2003年には、DMTをTPAに変換することによって、ボトル用PET樹脂にまで戻すことが可能となり、「ボトルtoボトル」が実現しました。

マテリアルリサイクル
廃棄後、素材の物性を変えずに本来の製品用途以外の用途に使用する方法です。代表例としてペットボトルを再溶融してフレーク/ペレット化しポリエステル繊維の原料に使用することが行われています。ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどの合成繊維は、同一繊維で構成されていれば再溶融により別の成型品としての利用が可能となりますが用途が限定されています。なお、一般の繊維製品を裁断・反毛(多数の針で布を引っ掻き繊維状にほぐす)して、フェルトや詰めわたなどに再利用することも古くから行われています。

サーマルリサイクル
可燃性廃棄物を焼却し、発生した熱を有効利用する方法です。この例としては、ゴミ発電、RDF(RefuseDerivedFuel-固形燃料)化、油化などがあります。繊維製品では、一部の企業で、使用済み衣料品などをRDF化して工場のボイラーなどで石炭の代わりに燃料として利用するサーマルリサイクルが実施されています。

その他
繊維製品では、古着のリユースやリフォーム、布団の打直しのように形態を大きく変えずに、洗浄・補修・再縫製などにより再利用する方法が古くから行われています。

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