日本化学繊維協会と炭素繊維協会は
2014年7月1日に統合しました

化学繊維の用語集

環境配慮型素材

多くの化学繊維は枯渇性資源である化石資源を原料として使いますが、これらを原料としない「植物由来素材」や、自然環境中で分解する「生分解性素材」、有機溶剤を使用しない「有機溶剤不使用素材」などがあります。

植物由来素材
植物由来(バイオマス由来)の繊維素材には、とうもろこしのデンプンから得られる乳酸を原料としたポリ乳酸繊維や、同じくとうもろこしのデンプン由来の1,3プロパンジオールを原料とする植物由来PTT繊維、唐胡麻(ヒマ)から採取されるヒマシ油を原料としたナイロン11などがあります。

化学繊維の主な植物由来素材
■セルロース系繊維
レーヨン・リヨセル:木材パルプを原料とする再生セルロース繊維です。
キュプラ:コットンの種子のまわりに生えている繊維「コットンリンター」を原料とする再生セルロース繊維です。
アセテート:木材パルプを主原料とし、酢酸を化学的に反応させた酢酸セルロース繊維です。
■脂肪族系ポリエステル繊維
ポリ乳酸:とうもろこしなどの「デンプン」から得られる「乳酸」を原料とした繊維です。
植物由来ポリトリメチレンテレフタレート(PTT):PTTはテレフタル酸と1,3プロパンジオールの重縮合体からなる繊維で、このうち1,3プロパンジオールがとうもろこしなどの「デンプン」から作られたものを植物由来ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)といいます。
■脂肪族系ポリアミド繊維
ナイロン11:唐胡麻(ヒマ)の種子から抽出したヒマシ油の成分である11‒アミノウンデカン酸を重縮合することにより得られる繊維です。

生分解性素材
生分解性とは、自然界に存在する微生物の作用によって、構成するすべての物質が最終的に水と二酸化炭素まで分解される性質をいいます。物質の小さい断片への物理的な分解を指す「崩壊性」とは異なります。生分解性の判断には、エコマークの「生分解性プラスチック製品」基準が参考にされています。

化学繊維の主な生分解性素材
■セルロース系繊維
レーヨン:木材パルプを原料とする再生セルロース繊維で、土中などで分解されます。
キュプラ:コットンの種子のまわりに生えている繊維「コットンリンター」を原料とする再生セルロース繊維で、土に埋めると分解されて土に還ります。
■脂肪族系ポリエステル繊維
ポリ乳酸:とうもろこしなどの「デンプン」から得られる「乳酸」を原料とした繊維です。ポリエステルに近い物性を持ちながら、最終的には加水分解とバクテリアの酵素反応により水と炭酸ガスに分解されます。
ポリブチレンサクシネート:グリコールと脂肪族ジカルボン酸を化学合成して得られる脂肪族ポリエステルを原料にした繊維です。乾燥した状態では性能が低下せず、水中や地中でのバクテリアの生命活動を通じて、徐々に水と炭酸ガスに分解されます。

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