1994年に欧州規格「EN471」が発効、これを基に米国で「ANSI107」が1999年に制定され、その後、世界各地に同様の動きが広がりました。2013年に国際規格「ISO20471」が発行されたことを受け、日本でもJIS化に動き出し、15年10月に高視認性安全服の日本工業規格「JIS T8127」が発行されました。規格名称は高視認安全服ですが、「T」は「医療安全用具」の業種分類です。繊維製品の分類は「L」ですが、防護衣としての位置付けとなっています。
リスクレベルでクラス1~3に分けられています。クラス1は駐車場や工場、倉庫などでの着用が想定され、ベストやシャツなどのアイテムで対応できます。クラス3の着用シーンは高速道路作業をはじめ作業時のリスクが高く、蛍光素材、反射材の使用面積も最も多くなります。
JIS化の経緯と概要
再帰性反射材とは
再帰性反射材とは、再帰性反射の原理を利用した素材です。再帰性反射とは、入射角に関わらず、入射光が入射した方向(光源)に向かってそのまま反射する現象です。再帰性反射材に車両のヘッドライトが当たると、その光は光源である車両にそのまま反射されるので、車両運転者の視認性が高まるのです。
ニーズに応じ機能も付与
~帝人フロンティア「テクシャス®」~
帝人フロンティアはISO20471に対応した「テクシャス®」を展開しています。規格化された色度・輝度率、物性を満たすのはもちろん、ニーズや用途に応じてさまざまな機能性を付与することができます。例えば、織り構造で高通気性を実現する「エアーインプレッション®」と組み合わせることでISO基準を満たしつつ通気性による快適性も得られるワーキングユニフォームを実現できるほか、難燃化なども可能です。
統一ブランドで見本帳展開
~東レ「ブリアンスター®」~
東レは高視認性安全服向けのユニフォーム素材群を「ブリアンスター®」のブランド名に統一し、生地見本帳に取りまとめて展開しています。規格化した色度・輝度率を満たした蛍光色による高視認性素材を、ポリエステル100%からポリエステル65%綿35%のポリエステル高混率まで、織編みともにそろえています。素材は8種で全てISOに対応しており、コート向けの透湿防水、吸汗速乾のニットなど、アウターからボトムまで展開します。
道路、鉄道、航空、建設、鉄鋼、化学、運送など幅広い分野のワーキングユニフォーム向けに提案しています。
綿混、ニットとバリエーションも拡大
~ユニチカトレーディング「プロテクサ®HV」~
ユニチカトレーディングは、危険業務従事者向けのユニフォーム素材として、「プロテクサ®」シリーズを展開しています。プロテクサHVはその中で高視認性用途に適した素材で、ISO20471が求める蛍光生地の要求性を満たした、耐光堅牢度の高い高視認性素材です。JIS規格化に伴う需要拡大を見込み、ポリエステル100%以外にも綿混やニットなどバリエーションを広げており、夜間の道路工事や鉄道路線の保全作業などで着用されています。日本の気候条件を考慮し、国際基準よりも高い耐光堅牢度を実現しています。
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